2008 Fiscal Year Annual Research Report
カスケード型シグマトロピー転位反応を活用した生物活性物質の全合成研究
Project/Area Number |
20350021
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
千田 憲孝 Keio University, 理工学部, 教授 (50197612)
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Keywords | シグマトロピー転位 / カスケード型反応 / モルヒネ / A-315675 / 連続Claisen転位 / 連続Overman転位 |
Research Abstract |
本課題では、隣接した複数の水酸基を有するアリルアルコールを有する基質において、カスケード型のシグマトロピー転位反応を行うことにより、水酸基の不斉を転写しながら、複数のC-C、 C-N、 C-O結合を短工程で立体選択的に構築する方法論の開発と、本方法論を用いた生物活性物質の全合成を目的としている。平成20年度の研究においては、以下のような成果を得ることができた。 1.カスケードClaisen転位を鍵反応としたモルヒネの形式全合成:糖質であるD-グルカールを出発原料とし、Ferrier環化反応、鈴木-宮浦カップリング反応などを利用してシクロヘキセンジオールを合成した。これに2-ニトロフェノール存在下、オルト酢酸トリエチルと加熱したところ、カスケード型のClaisen転位反応が進行し、モルヒネの連続する3級、4級炭素を一段階の反応で、立体選択的に構築することに成功した。転位体はエポキシドを経由するジヒドロフラン環の構築、分子内Friedel-Crafts反応によるモルヒネのB環生成などにより、ジヒドロイソコデインへ導くことができた。これにより、モルヒネの形式全合成を達成した。 2.カスケードOverman転位を利用したA-315675の全合成:D-酒石酸を出発原料とし、3級アルコールのエーテル部位とZの立体配置を有するアリルジオールを合成した。これを対応するジイミデートへ変換し、キシレン中加熱したところ、Overman転位がカスケード型に進行し、ジアミン構造を一段階の反応で、立体選択的に構築することに成功した。これをγ-ラクタムへ導き、炭素鎖の導入などにより、A-315675物質の全合成を達成した。
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Research Products
(3 results)