2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20350022
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
櫻井 英博 Institute for Molecular Science, 分子スケールナノサイエンスセンター, 准教授 (00262147)
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Keywords | ヘテロフラーレン / ヘテロバッキーボウル / アザノルボルナン / 求核置換反応 / S_N1反応 / マイクロ波反応 |
Research Abstract |
本研究は、ヘテロ原子を骨格内に含む「ヘテロフラーレン」の自在合成を最終目標とし、その合目的なアプローチとして、お椀型共役化合物「ヘテロバッキーボウル」の簡便かつ汎用的な合成手法を開発し、その物性を明らかにすることを目的としている。 22年度は、20年度に開始したスマネンの5員環リム位に3回対称に窒素を導入したトリアザスマネンの合成の継続研究を中心に行った。すでに本研究では前駆体としてアザノルボルナン骨格誘導体の合成研究の過程において,ノルボルナン骨格では通常進行しない、立体反転型の求核置換反応が進行する例を見出していた。すなわち、ハロゲン化物からヒドロキシル基への変換反応の際、マイクロ波の反応条件を用いると、求核剤として化学量論量の水を用いるだけで置換反応が進行し、しかも生成物は完全に立体反転を伴っていた。通常このような反応は進行しない事が知られているので,本反応の反応機構について詳細な検討を行った結果、反応はS_N1反応で進行し、中間体のカルボカチオンに対し、窒素の非共有電子対の相互作用によりエキソ面からの求核剤の攻撃が妨げられると同時に、エンド面のLUMOのローブが大きく張り出し、その結果、エンド面からの置換反応のみが進行していることが明らかとなった。このような反応例はこれまでになく、一般性を獲得することにより、新たな反応制御法になることが期待される。またこの際の求核剤は水そのものではなく、前段階のBoc基の脱保護で用いていたトリフルオロ酢酸塩であることも明らかにした。
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Research Products
(5 results)