2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20350022
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
櫻井 英博 分子科学研究所, 分子スケールナノサイエンスセンター, 准教授 (00262147)
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Keywords | ヘテロフラーレン / トリアザスマネン / ボウル反転 / パラジウムクラスター |
Research Abstract |
本研究は、ヘテロ原子を骨格内に含む「ヘテロフラーレン」の自在合成を最終目標とし、その合目的なアプローチとして、お椀型共役化合物「ヘテラバッキーボウル」の簡便かつ汎用的な合成手法を開発し、その物性を明らかにすることを目的としている。 最終年度では、スマネン骨格の外郭6員環に窒素原子をC_3対称で導入したトリアザスマネンの合成に成功した。これは世界で初めての含窒素ヘテラバッキーボウルである。これまでの研究により、ハロゲン化アザノルボルネンのパラジウムクラスター触媒を用いた位置、立体選択的環化三量化反応およびアミドメタセシス反応により、アミド骨格を有する対応するバッキーボウル骨格の構築に成功していたが,今回このトリアミド化合物から、芳香族(複素環)化合物であるトリアザスマネンへの変換に成功した。すなわち、トリアミド化合物をトリチオアミドに変換した後、メチル化、芳香化によってメチルチオ基が置換したトリアザスマネン、さらに酸化によってスルホンが置換したトリアザスマネンへと誘導した。X線結晶構造解析の結果、トリアザスマネンは対応するスマネンよりも更に深いボウル構造であることが確認できた。例えば、ボウルの深さはスマネンが1.11Aであるのに対し、トリアザスマネンは1.29A、また最大曲率はスマネンのPOAV値が9.0°であったのに対し、トリアザスマネンは10.8°と、フラーレンC_<60>(11.6°)に匹敵する値を示した。そのため、ボウル反転エネルギーは非常に高く、計算値では41.5kcal/mol程度と推定されていたが,今回実測したところ、42.2±0.5kcal/molと、同様な値を示した。
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