2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20350026
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大場 正昭 Kyoto University, 工学研究科, 准教授 (00284480)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
志賀 拓也 筑波大学, 数理物質科学研究科, 助教 (00375411)
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Keywords | 強磁性 / フェリ磁性 / 誘電性 / キラリティ |
Research Abstract |
本年度は、孤立系では(1)サーモクロミックNi(II)錯体の誘電性、集積系では(2)1次元キラルNi(II)Fe(III)強磁性体の合成および(3)2次元キラルMn(II)Mn(III)フェリ磁性体の磁気挙動に関する熱力学的検討、を行った。 (1)では、構造転移により高温相で比誘電率が100倍以上増加することを見出した。低温及び高温相の構造解析により、配位子の熱振動と金属周りの構造変化、及び対イオンのディスオーダーが比誘電率変化に影響を及ぼすことが示唆された。今後、この構造変化と誘電率の相関についての検討を進める。 (2)では、キラル配位子を用いたシアノ架橋1次元Ni(II)Fe(III)錯体において、3Kで強磁性転移を確認した。交流磁化率および非線形交流磁気応答の測定から、3K及び2.5Kにおいて、異常な磁気応答とその変化が観測された。これは磁気構造の変化によるものと推測され、今後中性子回折によるスピン構造を決めることで、この応答について詳細に検討する。 (3)では、キラル配位子を用いたシアノ架橋2次元Mn(II)Mn(III)錯体において、フェリ磁性転移温度(21.2K)前後で交流磁気応答の変化が観測された。詳細な熱容量測定の結果、バルクの磁気転移温度は20.8Kであり、それより高い温度では低次元のショートレンジオーダーが生じていることが分かり、この挙動にMn(III)の磁気異方性によるソリトン励起が関係することが示唆された。
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Research Products
(14 results)