2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20350026
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大場 正昭 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (00284480)
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Keywords | 強磁性 / キラリティ / 誘電性 / スピン転移 |
Research Abstract |
本年度は、昨年度までに開発した1次元キラルNi(II)Fe(III)強磁性体PPh_4[Ni(dpen)_2][Fe(CN)_6](dpen=S,S- or R,R=1,2-diphenylethylenediamine)の磁場下での誘電応答を中心に検討した。 前年度までに、この化合物が3.0K及び2.5Kにおける異常な磁気応答が確認された。この温度域で磁場下における誘電応答の温度依存を調べたが、単結晶が風解したため磁気構造変化に由来する明確な誘電応答は観測されなかった。μSR及び磁場中の比熱測定から、2.5Kまでは2次元Ising型の磁気構造を、それ以下ではキラルスピン構造を含む3次元秩序構造を形成していることを明らかにした。 2次元{A[MnCr(ox)_3]nH_2O}(A^+=monocation)の系では、光学活性な対イオンを用いて極性構造を有する強磁性体を得た。この化合物は12Kで強磁性転移を示し、僅かではあるが磁気転移に伴う誘電応答を示したが、測定に耐えうる単結晶の作成が課題として残った。一方で、室温領域ではプロトン伝導性を示し、結晶溶媒の数に応じてプロトン伝導性が3桁以上変化することが確認された。 低い転移温度の問題の解決のため、磁気秩序に代えてスピン転移を組み込んだ化合物の合成も検討した。3次元多孔性構造を有しスピンクロスオーバーを示す化合物{Fe(pz)[Pt(CN)_4]G}(pz=pyrazine,G=guest molecule)では、光学活性なゲスト分子を吸着させることで、キラル空間群に属するスピンクロスオーバー化合物を得た。この化合物は250K付近でスピン転移を示し、スピン転移に伴う構造変化に由来する誘電応答も示した。ラセミ体をゲストに用いた場合も誘電応答が観測されたが、その変化率はキラル体の方が大きく、極性構造と磁性と誘電応答の相関が示唆される結果が得られた。
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[Journal Article] Magnetic Properties of Segregated Layers Containing M^<II>_3(μ_3-OH)_2(M=Co or Ni) Diamond Chains Bridged by cis, cis, cis-1, 2, 4, 5-Cyclohexanetetracarboxylate2010
Author(s)
M.Kurmoo, K.Otsubo, H.Kitagawa, M.Henry, M.Ohba, S.Takagi
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Journal Title
Inorg.Chem.
Volume: 49
Pages: 9700-9708
Peer Reviewed
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