2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20350028
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
速水 真也 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (30321912)
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Keywords | 金属錯体 / ソフトマテリアル / 電場応答 / 強誘電性 |
Research Abstract |
金属錯体は一般的に絶縁体の化合物が多く存在し、強誘電体を構築する上で非常にアドバンテージが多い物質群であるが、現在まで金属錯体で強誘電性が報告された例は配位高分子化合物の数例のみである。また強誘電性液晶は、液晶材料にキラル源の導入や構造的に折れ曲がった構造を有しているものなど非常に複雑で扱いにくいものが多い。また金属錯体液晶においても現在までいくつかの強誘電性の発現において、キラル源の導入における強誘電性の発現のみであり強誘電性を発現させるためにはキラル源の導入あるいはベント構造を有するものが不可欠であった。しかしながら本研究提案では、キラル源やベント構造などは必要としない中心金属錯体における動的電子状態に起源をもつ強誘電性を発現する金属錯体液晶の構築を目指した。 強誘電性金属錯体の開発において、鉄(II)、コバルト(II)、ニッケル(II)などのさまざまな金属イオンを有する金属錯体液晶の構築および金属錯体特有の機能と強誘電性を併せ持つ金属錯体液晶の構築に成功した。また得られた金属錯体液晶材料の薄膜化およびパターニングにも成功し、さらに非線形スイッチングや光スイッチングの特性発現も確認した。これらのスイッチング機能性を材料化するために、SHGを測定する必要があり、SHGのレスポンスを測定したところ、すべてのサンプルにおいてSHGレスポンスを観測することに成功した。 今後、薄膜材料やパターニング材料における強誘電性スイッチング材料の可能性を示唆することができた。また発光特性も付与することができ、多機能性分子デバイスの開発に大きく前進することができた。
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