2008 Fiscal Year Annual Research Report
イオン液体に溶存する金属イオンの溶媒和錯体構造と錯形成
Project/Area Number |
20350037
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
石黒 愼一 Kyushu University, 理学研究院, 教授 (80111673)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梅林 泰宏 九州大学, 理学研究院, 准教授 (90311836)
神崎 亮 九州大学, 理学研究院, 助教 (50363320)
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Keywords | イオン液体 / 液体構造 / 溶媒和構造 / イオン溶媒 / 金属錯体 |
Research Abstract |
イオン液体は分子液体と同様に金属塩を溶解する。分子液体では溶媒分子が金属イオンに溶媒和する。溶媒分子はほとんどが単座で溶媒和し、錯形成反応に伴って、配位子と置換する。イオン液体は、イオンのみからなる液体であり、金属イオンには、溶媒アニオンが溶媒和する。溶媒アニオンとして用いられているのはtfsa^-やtfO^-など超強酸の共役塩基である。それらの溶媒和錯体の配位構造をラマンスペクトルで研究した。tfO^-が単座配位であるのに対してtfsa^-は2座キレート配位することが示され、配位数は、アルカリ金属イオンの場合、イオン半径によって変化することがわかった。一方、遷移金属イオンは、3配位8面体構造を取っている。電子スペクトルは、水溶液中に比べて、長波長側にシフトしている。Htfssaは超強酸であり、tfsa^-の配位子場が水に比べて弱いと考えると矛盾のない結果である。溶液反応は溶媒の液体構造に強く影響される。X線ならびに中性子散乱により様々なイオン液体の液体構造について調べた。また、MDシミュレーションと比較検討を行った。カチオンのアルキル鎖を長くすると、長距離に特異的な相互作用が現れることがわかった。これは、イオン液体の局所的な非均一性の形成に基づくものであり、その散乱ピークがどんな相互作用に基づくものか、また、非均一性の発生原因は何かについて理論的に検討し、それがアニオン間相互作用に由来することの証拠を得た。
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Research Products
(13 results)