2010 Fiscal Year Annual Research Report
機能性核酸及びペプチド核酸複合体を基体とする柔軟な情報変換システムの構築
Project/Area Number |
20350038
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
井原 敏博 熊本大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (40253489)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻井 敏彦 鳥取大学, 工学部, 准教授 (10332868)
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Keywords | オリゴヌクレオチド / 協同性 / ハイブリダイゼーション / ターピリジン / 金属錯体 / 融解曲線 / 高次構造の制御 / 機能性核酸 |
Research Abstract |
DNA骨格にterpyridine(terpy)を組込むために設計した、terpyを基本骨格としたアミダイト試薬の合成が完了した。このアミダイト試薬をDNA自動合成装置に導入して、鎖中に2つのterpyを組込んだ種々のオリゴヌクレオチド(terpy_2ODN)を合成することができた。適当な金属イオン共存下、このterpy_2ODNは分子内の2つのterpyが金属イオンとの間で2:1の錯体を形成し、それに伴ってterpy_2ODN全体がΩ型構造をとることが期待される。すなわち、一次構造では互いに離れていた両末端の配列がΩ構造形成に伴って互いに引き寄せられ、一続きの新しい配列を与えることになる。金属イオンによる高次構造の可逆的スイッチングである。この配列に相補的なDNAとの二本鎖形成を観察することによって、これを検証することにした。 はじめに種々の金属イオンとterpy_2ODNとの相互作用を分光学的手法により観察した。概ね一般に知られている金属イオンとterpyとの錯生成挙動から予測される結果となった。すなわち、Fe^<2+>とNi^<2+>では、金属イオンの添加量に依存せず、広い濃度範囲で2:1錯体の形成が示唆されたが、Cu^<2+>やZn^<2+>などでは量比に依存して2:1から1:1錯体へと形態を変化させる様子が見られた。次に、Fe^<2+>存在下、両末端配列と相補的なDNAとの二本鎖の熱安定性をUV融解実験により観察した。その結果、terpy_2ODNと同濃度のFe^<2+>を系に添加することにより二本鎖が大きく安定化することがわかった。これは、DNAのループ構造を自在に制御できることを意味し、このユニットを機能性核酸に導入することでアロステリックに制御可能なシグナル応答系が設計できることになる。
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Research Products
(4 results)