2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20350041
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
櫻井 健次 National Institute for Materials Science, 量子ビームセンター, グループリーダー (00354176)
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Keywords | 分析・計測 / X線技術 / 可視化 / イメージング / 原子レベル構造 |
Research Abstract |
本研究では、研究代表者が発明した投影型X線顕微鏡技術を発展させ、不均一な試料の構造情報を複眼的に取得するため、X線回折法およびX線吸収微細構造(XAFS)法の双方から得られる結晶構造、原子レベルの局所構造、価数、電子状態等の画像化を意図している。平成21年度は、本研究の策定当時には予想できなかった大変好ましい情勢変化が生じた。本技術は、迅速性に最大の特色があり、高強度のビームラインと多層膜モノクロメータ等の光学系を組み合わせることにより、世界でも例がない動画撮像のポテンシャルを有している。施設の再編成のため、開発の初期段階で用いられた高強度のビームラインが2006年にシャットダウンされ、動画撮像の試みは中断を余儀なくされていたが、2009年3月に高エネルギー加速器研究機構のPFAR6.5GeVリングのアンジュレータービームラインNW2Aにおいて、多層膜モノクロメータの仮設置を行う機会に恵まれた。その後、同年10月および2010年2月、3月に詳細な検証を行うことができ、本格的な動画撮像を実施できる体制の再整備に成功した。現在では、時々刻々成長し、化学変化する過程の元素分布および結晶構造の分布を連続的に画像として取得することが可能である。この撮像時には、X線回折の画像は取得できるが、エネルギー分解能を犠牲にしているため、XAFSの画像は十分なものを取得することはできないので、研究の進め方としては、同じビームラインにて、多層膜モノクロメータ(動画撮像)と通常のモノクロメータ(回折・XAFS複合解析)を使用する期間をそれぞれ設け、切り替えつつ研究を実施することとした。ビームタイムの総枠に制限があるため、当初計画は変更せざるを得ないが、優先順位をつけ直して実施しており、XAFSイメージングについても検討を進めることができた。再整備された多層膜モノクロメータによる動画撮像の性能は非常に優れており、今後時々刻々の変化を追う研究は一層の飛躍を目指すことが期待される。
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Research Products
(7 results)