2008 Fiscal Year Annual Research Report
光学活性ホウ素-銅活性種による有機ホウ素化合物の触媒的不斉合成
Project/Area Number |
20350043
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
伊藤 肇 Hokkaido University, 大学院・理学研究院, 准教授 (90282300)
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Keywords | 合成化学 / 触媒・化学プロセス / 有機化学 / 不斉合成 / 銅 |
Research Abstract |
本研究は、既存の方法では合成困難な光学活性有機ホウ素化合物を、光学活性ホウ素-銅(I)触媒種を経由ずる触媒的不斉反応によって、効率よく合成する新しい方法を確立することを目的とした。本年度における検討の結果、光学活性シクロプロピルホウ素化合物、光学活性アレニルホウ素化合物の高収率かつ、高エナンチオ選択的な合成法を誰立した。3-シリルアリル炭酸エステルに対し、光学活性銅(I)触媒存在下で、ジボロンと反応させると、分子内環化反応を経て、トランス-1-シリル-2-ボリルシクロプロパン化合物が高いエナンチオ選択性で(90-96%ee)得られた。この方法は収率が高い上、シス/トランス選択性がきわめて良好で、様々な基質において選択的にトランス体が得られた。また、プロパルギル炭酸エステルを反応基質として用いて、銅(I)触媒存在下、これをジボロンと反応させると脱離基である炭酸エステルのγ位に選択的にホウ素置換基が導入され、対応するアレニルホウ素化合物が選択的に得られた。光学活性プロパルギル炭酸エステルを用いると、高い不斉転写効率(>99%)で光学活性アレニルホウ素化合物が得られた。アレニルホウ素化合物を合成する方法はこれまできわめて限られ基質に対するものしか知られていなかったのに対し、この方法は幅広い基質に対して適用可能で、官能基を含むアレニルホウ素化合物も良好な収率で合成することが出来る。この方法で合成した光学活性有機ホウ素化合物は、光学活性化合物合成における合成反応剤としてきわめて有用であるが、他の方法では合成することが出来ないため、本方法の価値は高い。
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] Reversible Mechanochromic Luminescence of [(C_6F_5Au)_2(η-1, 4-diisocyanobenzene)]2008
Author(s)
Ito, H. ; Saito, T. ; Oshima, N. ; Kitamura, N. ; Ishizaka, S. ; Hinatsu, Y. ; Wakeshima, M. ; Kato, M. ; Tsuge, K. ; Sawamura, M.
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Journal Title
J. Am. Chem. Soc. 130
Pages: 10044-10045
Peer Reviewed
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