2009 Fiscal Year Annual Research Report
光学活性ホウ素-銅活性種による有機ホウ素化合物の触媒的不斉合成
Project/Area Number |
20350043
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
伊藤 肇 Hokkaido University, 大学院・理学研究院, 准教授 (90282300)
|
Keywords | 合成化学 / 触媒・化学プロセス / 有機化学 / 不斉合成 / 銅 |
Research Abstract |
本研究は、既存の方法では合成困難な光学活性有機ホウ素化合物を、光学活性ホウ素-銅(I)触媒種を経由する触媒的不斉反応によって、効率よく合成する新しい方法を確立することを目的とした。本年度における検討の結果、光学活性ホモアリルおよびアリルホウ素化合物の高収率かつ、高エナンチオ選択的な合成法を確立した。1,3-ジエンを光学活性銅(I)触媒存在下で、ジボロンと反応させると、分子内環化反応を経て、光学活性ホモアリルおよびアリルホウ素化合物が高いエナンチオ選択性で得られた。特に、ある種の環状ジエンにおいては、反応条件を変化させることにより、光学活性アリルホウ素化合物と光学活性ホモアリルホウ素化合物をそれぞれ選択的な作り分けに成功した。一方、環状メゾ型アリル炭酸エステルに対して同様の触媒系を作用させると、エナンチオ選択的非対称化反応が進行して多官能性アリルホウ素化合物が中間体として生じるが、これにアルデヒドを添加すると立体選択的な付加反応が進行して、不斉点を三つ持つ光学活性化合物が高立体ジアステレオ選択的かつ、高エナンチオ選択的に得られた。さらにこの反応を応用して抗ウィルス剤合成前駆体の効率合成に成功した。この方法で合成した光学活性有機ホウ素化合物は、光学活性化合物合成における合成反応剤としてきわめて有用であるが、他の方法では合成することが出来ないため、本方法の価値は高い。これらの他、プロパルギル炭酸エステルの銅触媒による選択的還元反応の開発や金ヒドリド中間体の合成と、触媒活性に関する研究も同時に行った。
|
Research Products
(17 results)