2010 Fiscal Year Annual Research Report
光学活性ホウ素-銅活性種による有機ホウ素化合物の触媒的不斉合成
Project/Area Number |
20350043
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
伊藤 肇 北海道大学, 大学院・工学研究院, 教授 (90282300)
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Keywords | 合成化学 / 触媒・化学プロセス / 有機化学 / 不斉合成 / 銅 |
Research Abstract |
本研究は、既存の方法では合成困難な光学活性有機ホウ素化合物を、光学活性ホウ素-銅(I)触媒種を経由する触媒的不斉反応によって、効率よく合成する新しい方法を確立することを目的とした。本年度における検討の結果、各種光学活性有機ホウ素化合物の高収率かつ、高エナンチオ選択的な合成法を確立した。1,3-エンインを光学活性銅(I)触媒存在下で、ジボロンと反応させると、触媒に含まれる配位子によってレジオ選択性が高レベルで制御される事がわかった。また、光学活性ジホスフィン配位子を肘いた場合、光学活性ホモプロパルギルホウ素化合物が高いエナンチオ選択性で得られた。アリール基がγ位に置換したアリル型基質に対し、光学活性銅触媒によるホウ素化反応を行うと、アリール基置換シクロプロピルホウ素化合物が高エナンチオ選択性で得られた。一方、ケイ素置換およびアリール置換ホモアリル型基質に銅触媒存在下でジボロンを反応させると、ホウ素化に引き続く環化反応が進行して、シクロブチルホウ素化合物ラセミ体の五員環アリル炭酸エステルに対して同様の光学活性触媒系を作用させると、エナンチオ選択的反応が進行して光学活性アリルホウ素化合物が生じるが、これにアルデヒドを添加すると立体選択的な付加反応が進行して、四級不斉点を持つ光学活性化合物が高立体ジアステレオ選択的かつ、高エナンチオ選択的に得られた。この反応では、ラセミ体の出発物質を用いているにも関わらず、全ての原料物質が目的の光学活性化合物に変換される。同位体ラベル化合物などを用いて反応機構を精査したところ、「直接エナンチオ収束反応」というこれまでに例のない反応機構で進行していることが明らかになった。
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Research Products
(21 results)
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[Journal Article] Copper(I)-Catalyzed Regioselective Monoborylation of 1,3-Enynes with an Internal Triple Bond : Selective Synthesis of 1,3-Dienylboronates and 3-Alkynylboronates2011
Author(s)
Sasaki, Y., Horita, Y., Zhong, C., Sawamura, M., Ito, H.
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Journal Title
Angew.Chem., Int.Ed.
Volume: 50
Pages: 2778-2782
Peer Reviewed
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