2009 Fiscal Year Annual Research Report
微小空間を活用する有機電解プロセスのブレークスルー
Project/Area Number |
20350046
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
跡部 真人 Tokyo Institute of Technology, 大学院・総合理工学研究科, 准教授 (90291351)
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Keywords | 有機電解合成 / マイクロリアクター / 陽極置換反応 / カップリング反応 / デラセミ化反応 |
Research Abstract |
微少な流路内で化学反応を行うマイクロリアクターは、様々な分野で応用が期待されている反応デバイスであり、その特徴は大きな比界面積、迅速な混合といったように典型的な固・液不均一系反応である電気化学反応においては大変魅力的なものと言える。このため、マイクロリアクターの電気化学的利用が測定・分析の領域において急速に伸びてきている。しかし、マイクロリアクターは必ずしも少量の物質変換に限られるものではない。マイクロリアクターは通常フロー型であり、リアクター内の電解液は常に流れているので、その小さな内容積から想像されるより変換量はかなり多く(年間数トンオーダーの生産も可能)、電解合成・製造への応用展開も十分に考えられる。しかも、電極間距離がマイクロオーダーであるといった特徴を最大限に活用すれば、従来のバッチ型の電解セルでは決して実現できない全く新しい電解合成反応や電解システムが構築できることも予想される。我々はこのような観点に立脚し、マイクロリアクターの特徴を活用した有機電解合成反応や電解システムの開発を試みることにした。 以下に本年度実施した具体的な研究内容を記述する。 電解反応をキーステップとするカスケード反応システムの開発 1. カテコールから電解酸化により生成したo-キノンを分解することなくリアクターの後半で、リホマトスキー試薬などと連続的に反応させることに成功した。 2. 活性の高いEGB(Electrogenerated Base)を室温下マイクロリアクター内で発生させ、これを利用した有機合成反応を構築した。 液-液平行流を活用したChemoselective電解反応システムの開発 3. 液-液平行流を活用することで2種類の基質のうち、一方だけを優先的に還元することに成功するとともに、クロスカップリング体の付加する位置の制御が達成された。 上記のように本年度はマイクロリアクターを活用した2つの有機電解システムの高度化と汎用化が達成された。
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