2008 Fiscal Year Annual Research Report
反応性メタラサイクルを鍵中間体とする環境調和型革新的環状化合物構築反応の開発
Project/Area Number |
20350048
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
近藤 輝幸 Kyoto University, 工学研究科, 教授 (20211914)
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Keywords | メタラサイクル / ロジウム / 触媒 / ケテン / アルケン / シクロプロパン化反応 / 脱カルボニル化反応 / カップリング反応 |
Research Abstract |
「メタラサイクル錯体」は、環状化合物の金属への直接酸化的付加、低原子価遷移金属上での不飽和化合物の酸化的環化、メタセシス、シクロメタル化反応等、種々の方法で発生可能であり、その反応性は極めて興味深いが、従来の有機金属化学分野においては錯体レベルでの化学量論反応に関する研究が主であった。本研究では、低原子価ルテニウム、あるいはロジウム錯体を触媒として用いることにより、反応性の高い「メタラサイクル中間体」を発生させ、機能性有機材料モノマーや生体機能分子の重要な構成要素である環状化合物の革新的構築手法を開発することを目的とする。 本年度は、ロジウム錯体触媒存在下、ケテンとアルケンの交差カップリング反応について詳細な検討を行った。その結果、アルケンとして2-ノルボルネンを用いた場合には、ロジウム活性上でのケテンと2-ノルボルネンとの酸化的環化反応が進行し、ロダシクロペンタノン中間体が生成し、ここからの脱カルボニル化反応、および還元的脱離反応により、シクロプロパン化生成物が高収率かつ高選択的に得られた。一方、アルケンとして金属への配位力の高い電子不足アルケン、例えばアクリル酸メチルを用いた場合には、同様にロジウム活性上でのケテンとアクリル酸メチルとの酸化的環化反応が進行し、ロダシクロペンタノン中間体が生成、続く脱カルボニル化反応によりロダシクロブタン中間体が生成すると考えられるが、この中間体からの還元的脱離反応よりもロジウムとシス位にあるβ-水素が脱離する反応(β-水素脱離反応)が速く、直鎖の脱カルボニル化カップリング生成物が高収率かつ高選択的に得られた。本研究の成否の鍵は、「反応性メタラサイクル」錯体の発生法の確立とその反応性の制御である。
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