2008 Fiscal Year Annual Research Report
π共役系高分子の精密合成を志向したクロスカップリング反応の研究
Project/Area Number |
20350049
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小澤 文幸 Kyoto University, 化学研究所, 教授 (40134837)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
滝田 良 京都大学, 化学研究所, 助教 (50452321)
中島 裕美子 京都大学, 化学研究所, 助教 (80462711)
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Keywords | クロスカップリング / ホモカップリング / トランスメタル化 / 重縮合 / 触媒反応機構 / π共役系高分子 / ポリ(アリーレンビニレン) / ポリ(アリーレン) |
Research Abstract |
(1)臭化スチリルを反応基質とする鈴木-宮浦反応の研究において、P-C還元的脱離反応を伴う特異なホモカップリング反応を見いだした。trans-[Pd(styryl)Br(PMePh2)2]をモデル化合物としてP-C還元的脱離機構について速度論的手法を用いて検討し、この反応がPMePh2配位子の解離を伴う解離型機構と、PMePh2配位子の会合による[Pd(styryl)Br(PMePh2)3]中間体の形成を伴う会合型機構により進行することを明らかにした。錯体の反応性はスチリル基の幾何構造によって大きく変化し、(E)-スチリル錯体が容易にP-C還元的脱離反応を起こすのに対して、(Z)-スチリル錯体では還元的脱離は起こらず、逆にP-C酸化的付加反応が進行することが分かった。 (2)(E,E)-1,4-ビス(2-ブロモエテニル)ベンゼンと2,5-ジオクチルオキシ-1,4-ベンゼンジボロン酸との鈴木-宮浦型重縮合反応について検討し、触媒として[Pd{P(t-Bu)3}2]を、塩基としてNaOHを用いることにより、P-C還元的脱離を伴うホモカップリング反応が抑制され、またトランスメタル化反応が助長され、高収率かつ高選択的にall-transポリ(フェニレンビニレン)(PPV)を合成できることを見いだした。また、all-trans PPVと、先に合成したall-cis PPVとの、光不溶化現象について比較検討して、all-cis体の方がはるかに効率のよい不溶化能を有することを明らかにした。 (3)チオフェン骨格を主鎖にもつall-cisポリ(アリーレンビニレン)を合成し、このポリマーの光異性化・不溶化によりケイ素基板上に調製された薄膜が、最高0.035cm2 V-1 s-1の電荷移動度を示すことを見いだした。
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