2009 Fiscal Year Annual Research Report
π共役系高分子の精密合成を志向したクロスカップリング反応の研究
Project/Area Number |
20350049
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小澤 文幸 Kyoto University, 化学研究所, 教授 (40134837)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
滝田 良 京都大学, 化学研究所, 助教 (50452321)
中島 裕美子 京都大学, 化学研究所, 助教 (80462711)
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Keywords | クロスカップリング / ホモカップリング / トランスメタル化 / 重縮合 / 触媒反応機構 / π共役系高分子 / ポリ(アリーレンビニレン) / ポリ(アリーレン) |
Research Abstract |
(1)昨年度の研究において、臭化スチリルのホモカップリング反応がスチリルパラジウム錯体中間体からのP-C還元的脱離反応により誘発されることを報告した。これと関連して、本年度は、モデル錯体であるtrans-[Pd(CH=CHAr)Br(PMeAr'2)2]のAr基とAr'基に電子的効果の異なる種々のパラ置換基を導入し、それらがP-C還元脱離反応速度に及ぼす効果を調べた。その結果、いずれのアリール基についても電子供与性基の導入により還元的脱離が顕著に加速されることが分かった。この結果は、"Pd-P(Me)Ar'2(CH=CHAr)"型パラダホスホラン中間体の関与を示すものである。 (2)Herrmann-Beller錯体を触媒前駆体として、2-ブロモ-3-ヘキシルチオフェンの脱臭化水素型重縮合反応が効率的に進行し、分子量3万を超えるポリ(3-ヘキシルチオフェン)が良好な位置規則性(93%)で合成できることを見いだした。反応の進行には、トリ(o-メトキシフェニル)ホスフィン配位子の添加が極めて重要であり、トリフェニルホスフィンなどの他のホスフィン配位子を用いた場合には、生成ポリマーの分子量は1万以下となった。本反応は、ハロアレーン類の脱臭化水素型重縮合反応により高分子量のπ共役系ポリマーを合成したはじめての例である。重合反応の経時変化をGLC, MLDI-TOFMS, およびGPCを用いて追跡した結果、位置規則性の低下は、反応初期に起こるホモカップリング反応(C-Br側でのカップリング)に起因していることが分かった。現在、反応機構の解析を進め、より位置規則性の高い触媒条件を探索中である。
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