2008 Fiscal Year Annual Research Report
炭素-水素および炭素-炭素結合の選択的切断を基軸とするクロスカップリング
Project/Area Number |
20350050
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三浦 雅博 Osaka University, 大学院・工学研究科, 教授 (20183626)
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Keywords | 合成化学 / クロスカップリング / 炭素結合 / 遷移金属触媒 / パイ共役分子 |
Research Abstract |
近年、様々な機能性分子材料や生理活性物質の合成と相まって、効率のよい新規な結合形成反応の開発が、ますます重要な研究課題となっている。本研究では、研究代表者らが最近見出した、炭素-水素結合および炭素-炭素結合の切断と炭素-炭素結合の生成を含む、芳香族化合物や不飽和化合物の新しいいくつかの触媒的カップリング反応を系統的に精査し、より高効率かつ選択的な合成手法へと展開を図るとともに、関連する新規反応の開拓を行うことを目的とする。交付申請書に記したように、まず一連の官能基を有する芳香族基質およびアルケン、アルキン類を用い、いくつかの後周期遷移金属錯体存在下での触媒反応を検討した。以前に見出した安息香酸類のハロゲン化アリールによるアリール化反応を、チオフェンカルボン酸等の複素環カルボン酸に展開したところ、興味深いことに炭素-水素結合および炭素-炭素結合切断を伴って複数のアリール基を導入できることを見出した。この反応にはパラジウム触媒が有効であり、触媒の配位子および添加剤としての塩基の選択が重要であることがわかった。一方、ピリジル基やアゾール基のような含窒素複素環基を有するベンゼン誘導体は、ロジウム触媒存在下、アリールホウ素反応剤によってオルト位炭素-水素結合を選択的に直接アリール化でき、この場合、適当なハロゲン化アルキルを添加剤として加えると効率よく反応が進行することを見出した。また、アリールホウ素反応剤の代わりに内部アルキンをカップリング相手として酸化条件で反応を行うと、炭素-水素結合の切断を伴う1:2カップリングが進行し、ナフタレン誘導体が高効率かつ選択的に生成するという知見を得た。さらに、安価なニッケルや銅触媒を用いる、含窒素5員環複素環類の2位炭素-水素結合の切断を伴うハロゲン化アリールによる直接的アリール化反応の開発に成功した。
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