2009 Fiscal Year Annual Research Report
炭素-水素および炭素-炭素結合の選択的切断を基軸とするクロスカップリング
Project/Area Number |
20350050
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三浦 雅博 大阪大学, 工学研究科, 教授 (20183626)
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Keywords | 合成化学 / クロスカップリング / 炭素結合 / 遷移金属触媒 / パイ共役分子 |
Research Abstract |
近年、様々な機能性分子材料や生理活性物質の合成と相まって、効率のよい新規な結合形成反応の開発が、ますます重要な研究課題となっている。本研究では、研究代表者らが最近見出した、炭素-水素結合および炭素-炭素結合の切断と炭素-炭素結合の生成を含む、新しいいくつかの触媒的カップリング反応を系統的に精査し、より高効率かつ選択的な合成手法へと展開を図るとともに、関連する新規反応の開拓を行うことを目的とする。交付申請書に記したように、昨年度までに得られた知見をもとに、まずヘテロ芳香族基質とアルキンあるいはアルケン類との反応を、パラジウムおよびロジウム触媒を用いて検討した。その結果、カルボキシインドール類とアルキンとのパラジウム触媒反応が銅塩存在下で脱炭酸を伴って効率よく進行し、1:2カップリング生成物であるカルバゾール誘導体が高収率で生成することがわかった。一方、1-フェニルピラゾールや2-フェニルピリジン類とアルケンとの反応は、ロジウム触媒および銅塩を用いた場合に、ヘテロ環窒素の配位を鍵とするフェニル基のオルト位での酸化的ビニル化が収率よく進行した。これらの反応で得られた生成物のいくつかは強い固体蛍光を示した。他方、より安価な第一周期の遷移金属を用いるカップリング反応についても検討した。その結果、特にオキサゾールやオキサジアゾールのようなアゾール類がニッケルあるいは銅触媒反応に良好な反応性を示すことが分かった。ニッケルを用いるアゾール類の2位炭素-水素結合切断を含む反応としては、内部アルキンへのヒドロアリール化、臭化アルキニルとのカップリングなどを見出した。また、銅を用いる反応としては、ヨウ化アリールによるアリール化、末端アルキンとの酸化的直接カップリングなどを開発することができた。また、これらの炭素-炭素結合生成に加え、炭素-窒素結合生成反応としてクロロアミンをアミノ基源とするアミノ化反応を見出した。
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