2010 Fiscal Year Annual Research Report
炭素-水素および炭素-炭素結合の選択的切断を基軸とするクロスカップリング
Project/Area Number |
20350050
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三浦 雅博 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (20183626)
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Keywords | 合成化学 / クロスカップリング / 炭素結合 / 遷移金属触媒 / パイ共役分子 |
Research Abstract |
近年、様々な機能性分子材料や生理活性物質の合成と相まって、効率のよい新規な結合形成反応の開発が、ますます重要な研究課題となっている。本研究では、研究代表者らが最近見出した、炭素-水素結合および炭素-炭素結合の切断と炭素-炭素結合の生成を含む、新しいいくつかの触媒的カップリング反応を系統的に精査し、より高効率かつ選択的な合成手法へと展開を図るとともに、関連する新規反応の開拓を行うことを目的とする。昨年度までに得られた知見をもとに、まず芳香族およびヘテロ芳香族基質とアルケンおよびアルキン類との反応を、第二周期遷移金属触媒を用いて検討した。その結果、オルト置換安息香酸類とスチレン類とのロジウム触媒反応が銀塩存在下で炭素-水素結合ならびに脱炭酸を伴って効率よく進行し、メタ置換スチルベン誘導体が高収率で生成することがわかった。2-チオフェンカルボン酸類はルテニウム触媒系を用いるとアクリル酸エステル類と効率よく3位でカップリングした。一方、1-フェニルピラゾールや2-フェニルオキザゾール類とアルキンとの反応は、ロジウム触媒および銅塩を用いた場合に、ヘテロ環窒素の配位を鍵とするフェニル基のオルト位およびメタ位での連続的炭素-水素結合切断を伴う1:2環化カップリングが効率よく進行した。これらの反応で得られた生成物のいくつかは強い固体蛍光を示した。他方、より安価な第一周期の遷移金属を用いるカップリング反応についても検討した。その結果、特にポリフルオロアレーン類ならびにオキサゾールやオキサジアゾールのようなアゾール類がニッケルあるいは銅触媒存在下で炭素-水素結合切断を伴ってハロゲン化アルキルやリン酸アリルによってアルキル化ならびにアリル化を受けることを見出した。特に銅触媒を用いるアリル化は立体保持で効率よく進行することが明らかとなった。
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