2009 Fiscal Year Annual Research Report
保護基を全く用いない水中での糖質モノマーの一段階合成とその重合
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20350051
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
正田 晋一郎 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 教授 (10143364)
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Keywords | オリゴ糖 / 糖オキサゾリン / 無保護糖 / DMC / 脱水縮合剤 / オリゴ糖 / ワンポット配糖化 / キトヘプタオース |
Research Abstract |
従来のオリゴ糖の合成の常識を覆すような全く保護基を用いない合成プロセスを開発した。そのために必要な基礎反応として以下に記載する糖オキサゾリンの水中における一段合成を達成した。無保護糖の2位にアセタミドを有する糖原料を分子内で脱水することにより目的とする糖オキサゾリンが得られるものと考え、本年度は、水溶性脱水縮合剤を徹底的にスクリーングした。その結果、カルボジイミド系試薬、トリアジン系試薬に加え、新たにイミダゾリジニウム塩系試薬が、極めて有効な脱水縮合剤であることを突き止めた。各種アセタミド糖を水中で、トリエチルアミンの存在下、DMC(dimethylimidazolinium chloride)で処理すると、目的とする糖オキサゾリシ誘導体が高収率で合成できることを見出した。この事実は、従来技術では不可能であったような、オリゴ糖のオキサゾリン化も可能になることを示している。そこで、キトオリゴ糖に対して、同様の反応を行ったところ、いずれの場合も高い収率で対応するオキサゾリン誘導体へ変換できることが分かった。 キトオリゴ糖から水中で対応するオキサソリンが効率よく調製できることが分かったので、引き続きキチナーゼの存在下、さまざまな糖受容体を反応させることにより、糖オキサゾリンを反応中間体とする酵素的オリゴ糖合成を行った。すなわち、キトペンタオースにトリエチルアミン存在下、DMCを作用させ、対応するオキサゾリンとした後、これを単離することなく、キチナーゼおよびキトビオースを添加したところ、キトヘプタオースがワンポットで合成できることを示した。キトヘプタオースは、強いエリシター活性をもつ物質として近年注目を集めている化合物であるが、これまでその有効な合成法が確立されていなかった。本手法を用いることにより、簡便な操作で無保護糖からキトヘプタオースを効率よく合成することができるようになった。
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