2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20350056
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
佐田 和己 北海道大学, 大学院・理学研究院, 教授 (80225911)
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Keywords | 高分子合成 / 高分子構造・物性 / レセプター / 環境材料 / 分子認識 / ゲル / 高分子電解質 / イオン対 |
Research Abstract |
様々なイオン対をもつイオン性高分子やその架橋体であるゲルを合成し、様々な媒質中で高分子電解質およびゲルとして機能する材料の分子設計を明らかにし、特に低極性溶媒中で機能する親油性高分子電解質の創製とその利用に関して研究を進めてきた。 今年度は、まずイオン対の親油性向上とイオン解離の制御を目的として研究を行った。親油性高分子電解質ゲルに疎水性の高いレセプター分子の添加により、対イオンとの錯形成を経て、イオン解離が促進され、ゲルの膨潤度の増大することが明らかになった。イオン部位の構成要素に非共有結合が適用可能であることを示すことができた。さらに、嵩高くかつ親油性の高いボスファゼンカチオンを持つカチオン性の親油性高分子電解質とビズイミダゾールボレートアニオンを持つアニオン性の親油性高分子電解質を合成し、低極性溶媒を用いて、QCM基板やシリカナノ微粒子への交互積層を行ったところ、逐次的に単調に周波数減少および電荷の反転が確認され、親油性高分子電解質を用いた低極性環境下で静電相互作用を用いて交互積層が生じることを初めて明らかにした。 また、親油性高分子電解質に水素結合により高分子鎖の凝集を引き起こす強い自己会合性の尿素を導入することで温度応答性高分子の分子設計を検討した。親油性イオン対が解離し、尿素の水素結合を阻害されにくい中極性の溶媒中では上限臨界共溶(UCST)型の温度応答性が観測された。この結果は高分子鎖を凝集させる部位と、親油性イオン対が高分子鎖を伸長させ高分子鎖を溶解させる部位として機能していることを示しており、相反する相互作用により、温度応答性が発現したと考えられる。本研究成果を基点として、様々な媒質、転移温度をもつ温度応答性高分子を自在に開発することが可能になると期待される。
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Research Products
(54 results)