2008 Fiscal Year Annual Research Report
内孔径を広狭調節できる蛋白質ナノチューブの創製と分子包接ダイナミクス
Project/Area Number |
20350058
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
小松 晃之 Waseda University, 理工学術院, 准教授 (30298187)
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Keywords | 蛋白質 / ナノチューブ / 分子包接 / 超分子 / バイオマテリアル / アルブミン / 交互積層 / 生体高分子 |
Research Abstract |
本研究は、管径サイズを動的に調節できる蛋白質中空シリンダーを構築し、その一次元内孔空間へ所望の生体高分子を吸入・放出できる従来に類例のないバイオナノチューブを創製、その分子包接ダイナミクスを明らかにすることを目的としている。管孔径を任意に広げたり狭めたりすることができれば、望む場所、望むタイミングで分子の吸入・放出が可能となり、既存のリポソームやミセルとは全く異なる分子キャリアの誕生に繋がる。 平成20年度は研究計画に従い、中川晶人(連携研究者)、Xue Qu(研究協力者)、Stephen Curry(海外研究協力者)の協力を得ながら推進。効率を上げるために研究支援者も雇用し、研究の促進を図った。 1.ナノチューブの組成・構造・調製条件の解明 多孔性ポリカーボネート膜をテンプレートとした鋳型内交互積層法により、蛋白質ナノチューブを合成した。第一着手としてヒト血清アルブミンを選択。アルブミンは等電点が4.8であるから、中性条件下では負の表面電荷を持つ。構造安定性を向上させるため、正電荷成分としてポリ-L-アルギニンを使用。得られたナノチューブを水中に分散させるための最適条件を確定した。さらに、アルブミンの基質結合による構造変化に関する基礎知見を整理し、新規ナノチューブの分子設計を開始した。 2.ナノチューブの三次元構造解析 ナノチューブの内径/外径/膜壁厚/長径の測定を走査電子顕微鏡(FE-SEM(現有))、透過電子顕微鏡(TEM、Cryo-TEM(現有))観察により行った。FE-SEMに2軸モーターステージを導入し、構造解析の精度と効率を大幅に向上させた。テンプレートの孔径サイズ、累積回数の違いにより内径・外径サイズは制御できる。さらに、赤外分光光度計を購入、アミド伸縮振動の観測から、チューブを構成している蛋白質の構造に大きな変化がないことを明らかにした。
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