2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20350059
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Research Institution | Institute for Molecular Science |
Principal Investigator |
江 東林 Institute for Molecular Science, 物質分子科学研究領域, 准教授 (40302765)
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Keywords | 配位分子 / 自己組織化 / 光機能 / 磁性 / 電子機能 / 重縮合 / 二次元高分子 / フタロシアニン金属錯体 |
Research Abstract |
本研究では、金属を含有する高分子を合成し、その光・電子・磁気機能の発現を解明すると共に、新規な機能性高分子の創出を目指している。本年度では、金属錯体として、共役系を有するフタロシアニンやサロフェンをモチーフにし、その合成と機能開拓を行った。具体的に、銅サロフェン錯体の合成及び自己組織化による超分子ナノワイヤーの合成と機能について検討した。また、フタロシアニンニッケル錯体の合成を行い、重縮合反応により二次元高分子の合成に成功した。 銅サロフェン錯体は、フェニル基の両側に二つの銅サロフェンサイトが共役し、平面構造を形成している。溶液状態において、自己組織化により、超分子ナノワイヤを形成していることが分かった。サンドイッチ型デバイスを組み立て、ナノワイヤの電気伝導を検討した。その結果、ナノワイヤーは電子及びホール両方を伝導できるというユニークな機能を見いだした。さらに、ナノワイヤは光伝導を有し、極めて高いオン・オフ比でスイッチングすることを明らかにした。また、ナノワイヤは極めて高い伝導異方性を示すことを突き止めた。 一方、フタロシアニンニッケル錯体に関して、モノマーの合成に成功し、それを用いた重合方法を確立した。フタロシアニンニッケル錯体は重合により平面構造を有する二次元高分子を生成していることを明らかにした。二次元高分子はさらに積層し、多孔性高分子を形成していることを明らかにした。フタロシアニンニッケル錯体からなる二次元高分子はサイズが極めて均一なメゾ孔を有し、かつ高い表面積を持つことを明らかにした。積層に起因する特異な光吸収能を有し、特に近赤外領域において大きな吸収バンドを示した。これは、従来のアプローチで困難であった「近赤外部における光吸収」を解決し、太陽光エネルギーの利用という観点から極めて魅力的な物質である。
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