2010 Fiscal Year Annual Research Report
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20350060
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
芥川 智行 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (60271631)
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Keywords | ナノワイヤ / ナノ粒子 / 量子伝導 / LB膜 / ナノ構造 / 導電性 / 原子間力顕微鏡 / 分子超薄膜 |
Research Abstract |
ウエット法により作製可能な分子性材料が形成する分子集合体と金ナノ粒子とから構成される複合ナノ構造の量子伝導特性に関する研究を試みた。前年度の研究では、ナノワイヤー金ナノ粒子の複合構造の伝導挙動が室温付近の半導体的な分子性ナノワイヤに、100K以下の低温領域における金ナノ粒子間の協奏的なトンネル伝導により支配される事が示されている。本年度は、機能の複合化の観点から、金ナノ粒子とポルフィリンおよびフタロシアニン誘導体との複合ナノ構造の量子伝導メカニズムの解明を検討した。フタロシアニン誘導体は、ランタノイド金属を中心金属として用いる事で、ダブルデッカー型のサンドイッチ構造を取る事が知られており、中心金属のスピン状態を分子設計の観点から制御する事が可能である。そこで、複合ナノ構造の量子伝導挙動に及ぼすフタロシアニンダブルデッカー構造のスピン状態の効果も検討した。チエニル基を導入したポルフィリンは、金ナノ粒子とのvan der Waals相互作用による複合構造を形成する事が明らかとなった。ポルフィリン分子のパイ平面が金ナノ粒子表面を覆う事で、弱い分子間相互作用に基づく複合ナノ構造を作製した。キャスト法により薄膜構造を作製し、その伝導物性を4~300Kの温度領域で検討した。その結果、~10K程度の低温領域の伝導挙動が、ポルフィリンのパイ平面を介した金ナノ粒子間の量子伝導挙動に支配される事が示された。また、フタロシアニンダブルデッカー構造のスピン状態を変化させる事で、量子伝導挙動に明確な相違が見られた事から、フタロシアニンのパイ電子軌道を介した量子伝導挙動が実現している事が明らかとなった。
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