2010 Fiscal Year Annual Research Report
有機局在スピン-伝導電子共存系を基盤とした新規物性の開拓
Project/Area Number |
20350062
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
菅原 正 東京大学, 大学院・総合文化研究科, センター特任研究員 (50124219)
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Keywords | スピン分極ドナー / スピンエレクトロニクス / テトラセレナフルバレン / テトラチアフルバレン / ニトロニルニトロキシド / 有機磁性金属 / 磁性・導電性連動系 / 電気伝導度 |
Research Abstract |
研究成果の概要(和文) 1.TSBN_2ClO_4塩の単結晶試料をクランプセルで加圧し、圧力下における導電挙動およびその磁場応答性を直流四端子法により測定したところ、15kbarでは室温から約70Kまでの温度範囲において、抵抗が温度の低下に伴い減少する導電挙動が見られた。さらに、2K,12Tの磁場を印加した際の抵抗率は、ゼロ磁場の場合より二桁も減少し(ρ_<12T>/ρ_<0T>=1/200)、99.5%に及ぶ負性磁気抵抗(1.5K,12T,15kbar)を示すことを見出した。 2、TSBN_2ClO_4塩のESR測定において、それぞれ伝導電子と有機ラジカルスピンに帰属されるシグナルの温度依存性より、両者の相互作用を解明する共同研究(東北大金材研・野尻浩之教授)が進行しており、当該基盤研究終了後も継続される見通しである。 3.BTBNの針状晶を基板上に配向させた試料を用いて,真空紫外光電子スペクトル(UPS)の測定を行なった(千葉大石井久夫教授、中山泰生博士との共同研究)。BTBNのUPSスペクトルには、HOMO由来のバンド端からE_F近傍に向かった裾が認められる(I_p=4.85eV)。この裾は対照化合物では観測されないことから、半占有のSOMO軌道由来に帰属されると考えられ、スピン分極した電子構造を支持することが分かった。 4.TSBN_2ClO_4塩、およびBTBNの単成分結晶は、磁性金属元素を含まない有機分子系でありながら、局在スピシと伝導電子とが互いに相互作用する磁性・導電性連動系であることが明らかになった。πドナーとπラジカルが交差共役で繋がれたスピン分極ドナーにおいては、その一電子酸化種が、特定のスピンをもつ伝導雷子のみを通渦させる"分子はすピンフィルター"として機能することで、右機磁性・導電性連動系を実現している。以上の成果より、スピンエレクトロニクスの分子基盤が確立されたといえる。
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Research Products
(6 results)