2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20350069
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小林 昭子 Nihon University, 文理学部, 教授 (50011705)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
周 彪 日本大学, 文理学部, 助教 (80434067)
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Keywords | 単一分子性金属 / 分子性伝導体 / 一次元ハイゼンベルグ鎖 / 粉末構造解析 |
Research Abstract |
単一分子性金属系[M(tmdt)_2]では中心金属を変える事により結晶構造は変えずに電子構造を系統的に変化させる事が出来るという著しい特性を持っている。これまでにM=Ni, Pd, Pt, Au等の系が合成されたが、本年新たにM=Cuの系を調べた。以前報告したように、類似配位子を持つ[Cu(dmdt)_2]は[M(tmdt)_2とは異なり、 Cuは四面体配位をするのであるが、 Cu(tmdt)_2は平面分子構造をとり、他の[M(tmdt)_2]と同型である。これ迄、[M(tmdt)_2]系の伝導バンドは基本的にHOMO, LUMOによって形成される事が知られているが、M=Cuではd_<xy>対称を持つSOMOがHOMO, LUMOと殆ど同じ程度のエネルギーを持つと予想される。従来平面分子の作るπ伝導バンドのフェルミレベルに分子中心に分布するσ分子軌道が位置するような伝導体は例がなく、π分子軌道との混成の程度によって前例のない磁気伝導物性が実現する可能性が非常に高いものと期待される。粉末結晶を押し固めた試料の電気抵抗は他の[M(tmdt)_2]と比べて非常に高く(σ(RT)^-1.8 Scm^<-1>)、d_<xy>軌道がファルミ面を消す作用をしているものと思われる。磁化率は1Dハイゼンベルグ鎖(J=-105cm^<-1>)の振舞いを示し、分子軌道計算から予想されるd_<xy>軌道に由来するスピン鎖とπ伝導バンドが結晶中に共存する事を示唆している。
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Research Products
(5 results)