2011 Fiscal Year Annual Research Report
フッ化物塩イオン液体およびそのポリマー誘導体を用いる環境調和型選択的電解フッ素化
Project/Area Number |
20350071
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
渕上 壽雄 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (10016701)
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Keywords | イオン液体 / 選択的電解フッ素化 / 脱硫フッ素化 / キサントゲン酸エステル / 間接電解 / リサイクル / メディエーター / ジフッ素化 |
Research Abstract |
本年度は昨年度の実績に基づき、下記のテーマについて研究を行い、所期の目的を完全に達成できた。 1.イオン液体部位を有する回収再利用可能なトリアリールアミンメデイエーターを用いるイオン液体中での電極触媒的電解フッ素化:トリアリールアミンメデイエーターを回収再利用可能にすべく、トリアリールアミンのフェニル基上にイミダゾリニウム塩や4級アンモニウム塩などのイオン液体部位を有するものを合成した。ついで、これらの化合物の電解酸化的脱硫反応に対する電極触媒能をCV測定により確認した。ついで、これらをメデイエーターとして用いたポリHF塩イオン液体中でジチオアセタール類の電解脱硫フッ素化を達成した。電解終了後、生成したフッ素化体はヘキサン有機溶媒で抽出でき、メデイエーターを含むイオン液体が繰り返し電解フッ素化に再利用できることを例示した。 2.ハロゲンメデイエーターによるイオン液体中での電解フッ素化:無溶媒系ポリHF塩イオン液体中でハロゲン化物イオンをメデイエーターとする電解フッ素化について検討した。様々なジチオアセタール類を基質とし、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオンをメデイエーターに用いた電解脱硫フッ素化について電気化学的測定やマクロ電解により検討した。その結果、臭化物イオンがメデイエーターとして最適であることが分かった。臭化物イオンイオンメデイエーターを用い、鎖状および環状ジチオアセタール類の電解酸化を行ったところHF塩イオン液体のHF含量の多いイオン液体中でジフッ素化体が高収率で生成することを見出した。さらに、本メデイエーター系を利用することにより、キサントゲン酸エステル類からのモノフルオロ化体合成やフェニルチオ基を有するエチレンカーボナートからの脱硫フッ素化にも成功した。 3.研究の総括:最終年度に当たるため、4年間の研究成果をまとめインパクトファクターの高いChemical Communications,2011,47,10211-10223に総合論文として発表した。
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