2008 Fiscal Year Annual Research Report
新感染症治療薬の創製を目指した環状ジグアニル酸の生理活性探索と活性発現機構の解明
Project/Area Number |
20350076
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
早川 芳宏 Nagoya University, 大学院・情報科学研究科, 教授 (50022702)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚本 眞幸 名古屋大学, 大学院・情報科学研究科, 助教 (10362295)
太田 美智男 名古屋大学, 医学(系)研究科, 教授 (20111841)
山田 景子 名古屋大学, 医学(系)研究科, 助教 (00402561)
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Keywords | 環状ビス(3'-5')ジグアニル酸 / 肺炎球菌 / 免疫活性化 / 2'-O-TBDMS-c-di-GMP / ヒトアナプラスマ症 / ヒト骨髄性白血病細胞 |
Research Abstract |
環状ビス(3'-5')ジグアニル酸(c-di-GMP)およびその人工誘導体、環状ビス(3'-5')ジグアニル酸-ジ-O-tert-ブチルジメチルシリル(2'-O-TBDMS-c-di-GMP)の合成、生理活性試験を行い、以下のような結果を得た。 (1)以前、本研究者らは、マウスを用いた予備的実験で、c-di-GMPが先天的な免疫活性化能をもつことを示した。今回、この免疫活性化が、ある特定なケースにのみ起こるのか、あるいは一般的なものかどうかを知るため、c-di-GMPとともに肺炎球菌の毒素タンパク質PdBまたは肺炎球菌の表面タンパク質PspAを抗原としてマウスに導入し、免疫機能の変化を調べた。その結果、いずれのタンパク質を抗原に用いても、肺中の肺炎球菌の減少およびCD86マーカーの大量発現が見られ、それに伴うマウスの生存率の向上が確認された。すなわち、c-di-GMP添加免疫活性化法は、異なる抗原でも再現性良く使用できる一般的な方法であることが明らかとなった。 (2)ヒト系のモデルとしてしばしば用いられるHL-60細胞(ヒト骨髄性白血病細胞)に対するヒトアナプラスマ症の原因菌であるAnaplasma phagocytophilumの感染力における2'-O-TBDMS-c-di-GMPの効果を調べた。すなわち、HL-60細胞を2'-O-TBDMS-c-di-GMPで2時間処理したものと、何も処理しなかったものについて、A.phagocytophilumを働かせ、132時間後の感染の度合いを調べた。その結果、2'-O-TBDMS-c-di-GMPで処理しなかったHL-60細胞は、約20%が感染するのに対し、2'-O-TBDMS-c-di-GMPで処理したHL-60細胞は、わずか1%しか感染していないことを見い出した。この結果から、c-di-GMPよりも親油性の高い2'-O-TBDMS-c-di-GMPは、A.phagocytophilumへの感染を阻害することが明らかとなった。 これらの結果は、今後、より一般性が高く、優れた生理活性をもつc-di-GMP誘導体を設計するのに大いに役立ち、本研究課題完成に向けて、極めて有意義な成果である。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] c-di-GMP is an effective immunomodulator and vaccine adjuvant againstpneumococcal infection.2008
Author(s)
Ogunniyi, A. D., Paton, J. C, Kirby, A. C, McCullers, J. A., Cook, J., Hyodo, M., Hayakawa. Y., Karaolis, D. K. R.
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Journal Title
Vaccine 26
Pages: 4676-4685
Peer Reviewed
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