2010 Fiscal Year Annual Research Report
高性能燃料電池を目指した炭化水素系膜電極接合体に関する研究
Project/Area Number |
20350086
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
宮武 健治 山梨大学, クリーンエネルギー研究センター, 教授 (50277761)
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Keywords | 燃料電池 / 高分子電解質 / 膜電極接合体 |
Research Abstract |
フルオレニル基を有するスルホン酸化ポリエーテル(SPE)電解質膜が高い安定性とプロトン導電特性を示すことを明らかにしてきたが、SPE電解質膜の性能をさらに向上させることを目的として、ブロック共重合化の効果を検討した。高密度にスルホン酸化した親水部を有することが特徴である。疎水部としてビスフェノールA(B-SPE-1)あるいはベンゾフェノン(B-SPE-2)骨格を含む2種類のブロック共重合体を重合した。得られたB-SPEの数平均分子量は50kDa、重量平均分子量は200kDa以上であり、溶液キャスト法により柔軟で強靭な膜として得られた。B-SPE電解質膜はランダム型SPE電解質膜と同程度の含水率を示すにもかかわらず、導電率が大きく向上していることが明らかとなった。プロトン導電率はIECの増大とともにさらに向上し、IEC=1.86meq/gのB-SPE-2膜は40%RH以上でナフィオンNRE膜に匹敵する値を示した。B-SPE-1に比べてB-SPE-2のほうが高いプロトン導電率を示した。 B-SPE-2膜を用いて単セル運転試験を行い、Nafion膜と比較した。80℃で水素/酸素を用いて運転を行ったところ、相対湿度30-80%RH、電流密度0-0.7A/cm^2の運転条件においてNafion膜とB-SPE-2膜はほぼ同程度の性能を示した。セル抵抗値はプロトン導電率から計算される値とほぼ同じであり、B-SPE-2膜が有効に機能していることが確認できた。80℃で水素/空気を用いた運転では>53%RHではNafion膜とB-SPE-2膜は同程度の性能を示したが、30%RHでは膜の乾燥のためB-SPE-2膜の性能は若干低下した。さらに厳しい条件として100℃において水素/酸素、水素/空気それぞれの条件で運転を行った。電極との接合性や水保持性(水の拡散性)など解決しなければならない課題があるが、100℃、30%RHでも優れたセル性能を達成することができた。
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