2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20350087
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
安部 武志 京都大学, 工学研究科, 教授 (80291988)
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Keywords | 多価イオン / 電池 / 炭素 / 負極 |
Research Abstract |
カルシウムイオンの黒鉛負極への電気化学的挿入脱離反応について、昨年に引き続き検討を行った。カルシウム塩を炭酸プロピレン溶媒に溶解させ、黒鉛負極へのカルシウムイオンの挿入脱離反応をサイクリックボルタンメトリーにより検討した。その結果、走査速度が速いときには、カルシウムイオンと溶媒が共挿入・脱離したサイクリックボルタモグラムが得られた。しかし、走査速度を遅くすると、溶媒の分解反応が優先的に起こり、カルシウムイオンを黒鉛に挿入させることができなかった。つぎに、リチウム塩とカルシウム塩を共存させ、黒鉛負極にカルシウムイオンを挿入脱離させることを試みた。その結果、カルシウムイオンの挿入脱離ではなく、リチウムイオンの挿入脱離反応が生じ、XRD測定よりステージ1のリチウム-黒鉛層間化合物まで形成することを見出した。黒鉛電極では、炭酸プロピレン溶液中でリチウムイオンの挿入脱離反応が進行しないことが知られているため、本研究で見出した反応は、これまでにない新しい反応であることが分かった。さらに、カルシウムイオンではなく、マグネシウムイオンとリチウムイオンの混合塩を炭酸プロピレン中に溶解させ、調製した電解液を用いても、黒鉛電極へのリチウムイオンの可逆な挿入脱離反応が認められた。これらの反応の詳細を調べるために、調製した電解液のラマンスペクトルを測定した結果、フリーな炭酸プロピレン溶媒に帰属されるピークが完全に消失していたことが分かった。
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