2010 Fiscal Year Annual Research Report
ケイ素元素の特徴を活かした新しい分子設計に基づく新規有機トランジスタ材料の開発
Project/Area Number |
20350092
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大下 浄治 広島大学, 大学院・工学研究院, 教授 (90201376)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
播磨 裕 広島大学, 大学院・工学研究院, 教授 (20156524)
吉田 拡人 広島大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (40335708)
水雲 智信 広島大学, 大学院・工学研究院, 助教 (90436676)
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Keywords | π電子系 / 有機ケイ素化学 / 有機トランジスタ / 有機薄膜 |
Research Abstract |
新規な有機材料として、π電子系をSi基で架橋または置換したタイプの化合物の合成と機能がよく検討されており、Si基による置換には、Siσ-軌道とπ電子系の軌道間相互作用(σ-π共役)などによって、共役長の拡張などのユニークな効果があることが示されている。我々は、昨年度、架橋部の効果を明らかにする目的で、一連の炭素鎖、ケイ素鎖、およびゲルマニウム鎖架橋オリゴチオフェン化合物の合成し、物性の評価をしたところ、σ-π相互作用は、中心が炭素であるよりもケイ素あるいはゲルマニウムの場合に、より顕著であることが明らかになった。そこで、今年度は、Si基として最も短いモノシランユニットを含む星型ターチオフェンにおいて、ターチオフェン間のσ-π共役の程度を評価し、新しい有機材料開発への指針を得ることを目的とした。また比較対象としてGe架橋分子も検討した。 その結果、架橋元素による明確な違いは見れなかったが、これらの化合物のスピンコート膜は、移動度は約10^<-7>cm^2/Vsと低いが、on/off=10^3-10^4と明確なTFT活性を示すことが分かった。σ-π共役による効果と考えられる。ターチオフェンという比較的限定的なπ電子系においても、SiまたはGe-架橋することで、溶液プロセスでもTFT特性を発現することができることは興味深い。 その他、新奇な星型ケイ素架橋オリゴチオフェンポリマー、ジチエノシロールを合成した。残念ながらTFT特性は観測されなかったが、薄膜太陽電池材料および発光材料として有望であることが明らかになった。
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Research Products
(9 results)