2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20350093
|
Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
大石 修治 Shinshu University, 工学部, 教授 (50021027)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
手嶋 勝弥 信州大学, 工学部, 助教 (00402131)
|
Keywords | 結晶成長 / 結晶工学 / フラックス / 低温成長 / 環境材料 / 酸化物 |
Research Abstract |
本研究では,本年度,環境融合フラックス法によるさまざまな複酸化物結晶育成とその形状・サイズ制御を主目的とし,以下の3課題を推し進めた。 1. はじめに,KCl-LiCl混合フラックスからLiTaO_3結晶を育成した。通常,1500℃以上の融点をもつLiTaO_3結晶の育成には,きわめて高温の状態が要求されるが,本研究では上述の混合フラックスを使用することで,500℃以下の温度でLiTaO_3結晶を育成できた。この結晶は無色透明で立方体を基本形状とし,紫外光照射下で光触媒特性を示すことを確認した。また,塩化物混合フラックスよりも共晶温度の低い硝酸塩混合フラックスを用いることで,リン酸カルシウム結晶(特にさまざまなアパタイト結晶)の育成を試みた。その結果,500℃以下の温度でフラックス法にてはじめて水酸アパタイト結晶を育成することに成功した。水酸アパタイト結晶は,六角柱を基本形状とし,自形が発達した高品質な結晶であることが電子顕微鏡観察からわかった。また,組成分析にて遊離したOH基の存在やX線回折分析にてアパタイト骨格に起因する特徴的な回折線も確認できた。 2. つぎに,さまざまな育成条件を制御することで,結晶サイズや形状を任意制御することをめざした。特に,出発原料組成,保持温度あるいは冷却速度がサイズや形状に大きな影響を及ぼすことがわかり,μmからnmオーダーへの小型化や針・柱状(一次元形状)からバルク状(三次元形状)への制御も実現した。 3. さらに,層状ニオブ酸カリウム(K_4Nb_6O_<17>)結晶の結晶構造中への遷移金属元素(Ni)の導入をめざしたフラックス結晶育成も試みた。その結果,K_4Nb_6O_<17>:Ni結晶を育成でき,もとのニオブ酸カリウムとは異なるバンドギャップをもつことがわかった。この結果,もとの結晶とは異なる特性(たとえば光触媒特性など)を示すことが示唆された。
|
Research Products
(7 results)