Research Abstract |
本研究の最終目標は,ネイチャーミメティック概念を導入した環境融合プロセスにより,先端無機結晶デバイスを提案し,社会に広く普及することである。本年度は特に,前年度研究を継続するだけでなく,複合材料の各種特性を評価し,クリーンエネルギーや環境浄化材料などを試作することも目的とし,下記4課題に注力した。 (1)環境融合フラックスからの酸化物単結晶の低温育成(昨年度継続) 本年度は,更なる低温化をめざして硝酸塩系フラックスを選択し,光触媒(光活性)結晶,リチウムイオン伝導性結晶,希土類アップコンバージョン結晶,イオン吸着結晶および電気伝導性結晶(ブロンズ)の低温育成に成功した。 (2)酸化物単結晶の形状・サイズ制御(昨年度継続) 上記(1)の硝酸塩系フラックスでは500℃よりもはるかに低い温度で結晶育成が可能となる。このフラックスを用い,組成・温度・時間・速度などの育成条件により,結晶形状やサイズを制御できた。特に,サブミクロンオーダー以下の小型結晶の育成を可能とした。 (3)単結晶の複合化(昨年度継続) 硝酸塩系フラックスを用いると,ポリマー・金属・ガラス・炭素材料などの耐熱性に乏しい材料をそのフラックス中に浸漬可能となる。その結果,上記の物質表面に課題(1)の結晶種を堆積あるいは高度に複合化できた。 (4)単結晶やその複合材料の特性評価とエコデバイス試作 本年度は,上記(1)のニオブ酸塩とチタノニオブ酸塩の単結晶を層剥離処理し,各種ナノチューブやナノシートを作製した。これらを色素増感太陽電池用光活性電極に用いたところ,電池として作動すうことがわかった。また,これらをガラス基板に固定化し,光触媒基板として使用したところ,高効率で有機有害物質を無害化できた。さらに,低温育成したリチウムイオン伝導性結晶の電池特性を評価したところ,市販品よりも高性能であり,フラックス育成結晶の特長がよく現れていた。
|