2008 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ複合ファイバーの薄膜化による革新的分離機能の発現
Project/Area Number |
20350098
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
一ノ瀬 泉 National Institute for Materials Science, ナノ有機センター, センター長 (50243910)
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Keywords | 超薄膜 / ナノファイバー |
Research Abstract |
本研究では、無機ナノストランドという極細のファイバーを合成し、その表面を分子精度でコーティングすることで、優れた材料特性をもつナノ複合ファイバーを製造する。さらに、このファイバーを薄膜化することで、ナノ分離膜としての工学的応用を目指す。さらに、化学プロセスに不可欠な耐久性(熱、酸、有機溶媒に対する安定性)を実現する。これにより、ナノ薄膜に革新的な分離機能を発現させ、21世紀の人類が遭遇する諸問題を解決することを目指す。 20年度は、水酸化カドミウム、水酸化銅や水酸化亜鉛のナノストランドの水中での熱的、化学的な安定性を詳細に検討した。特に、上記のナノストランドとアニオン性界面活性剤との相互作用を評価し、界面活性剤の種類や濃度を変えながら、ナノストランドとの複合ファイバーの形成を検討した。その過程で、長鎖スルホン酸型界面活性剤を用いて安定なバンドル様のナノ複合ファイバーが水分散液として得られることが分かった。このナノ複合ファイバーは、ポリカーボネートや多孔性アルミナ膜上で濾過することで、ナノ繊維状の超薄膜を与えた。超薄膜に過剰に吸着した界面活性剤を除去すると、限外濾過膜として利用できる力学的に安定な膜となり、90kPaの圧力差で1時間、1平方メートルあたりに12000Lを超える流束で、ナノ粒子を選別することが可能となった。
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