2008 Fiscal Year Annual Research Report
超臨界延伸による高分子の結晶高次構造制御と高性能化
Project/Area Number |
20350101
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
斎藤 拓 Tokyo University of Agriculture and Technology, 大学院・共生科学技術研究院, 教授 (90196006)
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Keywords | 超臨界二酸化炭素 / ポリエチレン / ポリカーボネート / 力学挙動 / 延伸 / 結晶 / 空孔 |
Research Abstract |
高分子フィルムに超臨界二酸化炭素を含浸すれば、その可塑化効果により延伸されやすくなることが期待されるが、その力学挙動は明らかにされていなかった。本研究では、超臨界二酸化炭素雰囲気下における力学挙動を定量的に明らかにするために、超臨界二酸化炭素雰囲気の高圧下で高分子フィルムの延伸中の応力-複屈折同時測定と可視化観察が可能な超臨界延伸装置を試作して、高密度ポリエチレン(HDPE)とポリカーボネート(PC)の力学挙動を調べた。その結果、HDPEでは二酸化炭素圧力が上昇して二酸化炭素の含浸量が増加するに伴い初期弾性率、降伏応力、平坦域応力が低下し、破断伸びが増加することでより延性になることが明らかになった。延伸過程の観察結果から、HDPEがネッキングされる際に空孔構造の形成あるいは結晶高次構造が大きく変化することが示唆された。それに対して、PCでは低温・低圧では破断歪みが増加してより延性になるが、高温・高圧になると圧力の増加に伴い破断歪みが低下して脆性となることが見出された。この結果は二酸化炭素の可塑化効果によって延性-脆性転移温度が低下したことによる。また、PCを二酸化炭素雰囲気下で延伸すると・結晶化や空孔形成が生じない低い温度・圧力領域で結晶化や空孔形成が生じることが見出された。これら超臨界二酸化炭素雰囲気下での空孔形成あるいは結晶高次構造の形成は低い延伸倍率から生じて・結晶化と空孔形成が同時に生じることで板状や楕円状など多様な形状の空孔が形成されることが示唆された。
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