2010 Fiscal Year Annual Research Report
超臨界延伸による高分子の結晶高次構造制御と高性能化
Project/Area Number |
20350101
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
斎藤 拓 東京農工大学, 大学院・工学研究院, 教授 (90196006)
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Keywords | 超臨界二酸化炭素 / ポリプロピレン / 延伸 / 結晶化 / 小角X線散乱 / 融解 |
Research Abstract |
大気圧下で結晶性高分子のポリプロピレン(PP)結晶フィルムを一軸に熱延伸すると強度、結晶化度、融点などは向上するが、融点の上昇は小さく、結晶化度は50%程度までにしか増加させることができなかった。ところが、試作した超臨界流体下で熱延伸可能な超臨界延伸機を用いてPP結晶フィルムを高温の超臨界二酸化炭素雰囲気下で熱延伸することで、結晶化度を70%以上へと大きく増加させることができること、つまりは高結晶化できることを見出した。さらに、結晶の融解温度が未延伸試料に比べて5℃も上昇することが明らかになった。得られた延伸高結晶化試料に対する小角X線散乱測定の解析結果において、例えば高温の超臨界二酸化炭素雰囲気下での4倍延伸によりラメラの厚みが延伸前の約13nmから約20nmへと大きく増加することから、超臨界延伸によるラメラの厚みの増加により結晶化度の増加や融解温度の増加が発現されることがわかった。また、4倍も熱延伸したにも関わらずラメラの配向は等方的で、ラメラの秩序性が不規則になっていることから、超臨界二酸化炭素のPPへの可塑化効果により結晶分子鎖が延伸に伴いほぐれて、その後でラメラが再配列・再結晶化したことで高結晶化結晶が形成されるという変形メカニズムを提案することができた。以上のように、超臨界延伸により大気圧下での熱延伸ではできない結晶高次構造制御が可能になり、それにより高融点・高結晶化度の高性能のPP材料を得ることができ、さらには小角X線散乱の解析結果などにより特異な結晶高次構造形成過程を明らかにすることができた。
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Research Products
(28 results)