2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20350102
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
下村 武史 Tokyo University of Agriculture and Technology, 大学院・共生科学技術研究院, 准教授 (40292768)
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Keywords | 高分子・繊維材料 / 高分子構造・物性 / ナノ材料 / 半導体物性 / 有機導体 |
Research Abstract |
導電性高分子であるポリ(3-ヘキシルチオフェン) (P3HT)は適当な溶媒からの析出で、アスペクト比の高いナノファイバー形態をとることが報告されている。そこで、析出溶媒を変えながらナノファイバー作製を試みたところ、厚みを2nmから10nmまで制御することができた。厚みの異なるナノファイバーにおいてX線回折、電気伝導度の温度依存性、FET特性を調べ、それぞれ結晶のコヒーレント長、電気伝導における活性化エネルギー、キャリア移動度を得た。その結果、良溶媒比率が高い条件で作製された、厚みが薄いナノファイバーほど結晶性が高く、電気伝導の活性化エネルギーが小さく、キャリア移動度が高いことがわかった。結晶性の制御法を確立し、そのキャリア輸送機構との関係を明らかにすることで、より高い移動度を有するナノファイバーの作製指針を得ることができた。 次に、ナノファイバー形成時に分子量の異なる導電性高分子、または3本足のスター状オリゴチオフェンを混ぜ合わせたところ、ナノファイバーの分岐を制御し、回路網が形成できることがわかった。また、スター状オリゴチオフェンを加えた場合にも同様の分岐構造が実現した。この分岐構造の電気伝導の温度依存性を測定し、電気伝導の次元性について可変長ホッピングモデルを用いて解析したところ、分岐のないものと回路網に大きな違いは見られなかった。これは、コヒーレント長が分岐間距離に比して短いためであると考えられる。一方、これにドーピングを施したものは、次元が約1次元から2次元近くまで大きく変化する様子が観測され、ナノファイバー回路網の電気伝導とトポロジーの関係性が示された。
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Research Products
(15 results)