2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20350102
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
下村 武史 Tokyo University of Agriculture and Technology, 大学院・共生科学技術研究院, 准教授 (40292768)
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Keywords | 高分子・繊維材料 / 高分子構造・物性 / ナノ材料 / 半導体物性 / 有機導体 |
Research Abstract |
導電性高分子であるポリ(3-ヘキシルチオフェン)(P3HT)は適当な溶媒からの析出で、アスペクト比の高いナノファイバー形態をとることが報告されている。本年度は微細電極を用いて、このナノファイバー1本からなるFETを作製し、その特性からキャリア移動度を測定した。その結果、ナノファイバー1本ではP3HTの薄膜と比較して、最高レベルの移動度を有することが判明した。また、ギャップの広い電極を用いると、ファイバー間ホッピングが起きて、移動度が低下することがわかった。引き続き、分岐導入を施したナノファイバーの移動度に関しての調査を行っている。 回路網形成したナノファイバーの薄膜は、ナノファイバー密度を下げてもある程度の濃度までは、あまり導電率が低下しない傾向があることを見いだした。これは、分岐箇所が機能し、回路網がよく繋がっていることを意味していると考えられる。一方、このファイバーに塩化鉄を用いてドーピングを施したが、導電率が1桁も土昇せず、ドーピングが効きにくい傾向があるという結果を得た。これはファイバーの結晶性が高く、ドーパントが内部によく浸透できないためであると考えられるため、一電子酸化剤のような更に強いドーパントを主鎖骨格の切断をしないように注意しながら用いる必要があると考えられる。 また、回路網の分岐に従来用いてきた、分子量の異なるP3HTやスター状オリゴチオフェンの他に金コロイドを用いたところ、それを分岐点とした回路網形成が確認された。現在、その導電特性の調査を行っている。
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