2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20350102
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Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
下村 武史 東京農工大学, 大学院・工学研究院, 准教授 (40292768)
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Keywords | 高分子・繊維材料 / 高分子構造・物性 / ナノ材料 / 半導体物性 / 有機導体 |
Research Abstract |
導電性高分子であるポリ(3-ヘキシルチオフェン)(P3HT)は適当な溶媒からの析出で、アスペクト比の高いナノファイバー形態をとることが報告されている。本年度はナノファイバーの析出時に金コロイドを添加して作製した分岐回路網の導電特性、FET特性を調査した。金コロイドをナノファイバー析出後に添加しても分岐点を形成しないことから、ナノファイバーは金コロイド表面から成長していることが明らかとなった。これにより簡便な分岐回路網作製法が確立できた。 新規に導入したランプを用いたリソグラフィーにより作製した電極間隔40μmレベルの電極間にのせて、その導電特性の温度依存性を測定したところ熱活性化型の依存性を示し、金コロイド分岐点を導入したものでは活性化エネルギーの低下がみられた。また、FET特性では移動度の上昇が観測された。これは金コロイド分岐点によりネットワーク化したナノファイバーにおいて、分岐点がキャリアの伝導経路として機能し、ファイバー間のホッピング伝導が抑制されたためである。ファイバーと金コロイド間のショットキー接触が抵抗となるものの、ファイバー間ホッピングに比してその抵抗が小さいことを意味し、分岐の効果を確認できた。一方、電極間隔200nmの微細電極間にのせた測定では、金コロイド分岐点を導入したものの方が高い活性化エネルギーを示した。微細電極ではナノファイバーが1本で電極間を橋渡しできるために、分岐点のショットキー接触による抵抗が顕著に現れたためであると考えられる。 以上により、これまでに明らかにした分岐トポロジーと伝導特性の関係に関する知見と合わせて、機能素子・配線をいかに接続して回路網を構築するのかに関する一つの処方箋を提示することができた。計画の最後に記載した、分岐点の光機能を利用した光スイッチの実現には至らなかった。
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Research Products
(17 results)