2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20350110
|
Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
須丸 公雄 独立行政法人産業技術総合研究所, 幹細胞工学研究センター, 主任研究員 (40344436)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高木 俊之 独立行政法人産業技術総合研究所, 幹細胞工学研究センター, 主任研究員 (10248065)
杉浦 慎治 独立行政法人産業技術総合研究所, 幹細胞工学研究センター, 主任研究員 (10399496)
|
Keywords | 光アクチュエータゲル / スピロピラン / マイクロ流体システム / 光応答性バルブ / 光酸発生剤 |
Research Abstract |
前年度に合成方法を確立、基礎物性データを収集した高速戻り光収縮スピロピランゲルを用いて、酸性水溶液中での、ロッド状のゲルが側面からの光照射に応答して素早く屈曲、数分の間に復旧する光駆動ソフトアクチュエータとして動作すること、シート状のゲルが局所光照射に応じて凹み、その後復旧し、その上にある小物体の運搬を光で自在に制御可能なマイクロコンベヤーとして機能することを実証した。しかしながら、このように顕著な光収縮はpH4以下の酸性条件下でのみ観察、細胞培養が可能な中性に近い条件で、前年度確認の程度(約10%)を超える十分な光応答を示すスピロピランの構造を特定するには至らなかった。 そこで、不可逆性となるが、光照射のみによって収縮度が変化、細胞培養環境を含む広いpH、イオン強度の範囲でその状態を維持する新たな光応答ゲルの構成要素として光酸発生(PAG)残基を検討、可視光応答性PAG残基を側鎖に有するポリN-イソプロピルアクリルアミドでゲルシートを合成した。乾燥状態で微小パターン照射を行い、その後水に膨潤させて表面を観察したところ、照射域の膨潤度が他に比べて低く抑制され凹凸レリーフ構造が形成されること、その状態が中性条件でも安定に保持されることが確認された。 さらに片面をガラス基板に固定したゲルシートを調製、その上に所定のギャップを介して、開口を有するガラス板を配置し、所定の流路パターンに沿って波長436nmの青色光照射を行い、開口から水を注入したところ、非照射域ではゲルが上のガラス面に達するまで膨潤した一方で照射域では空間が残り、開口部から注入したラテックス分散液が、こうして形成された流路に沿って導かれることが確認された。これにより、直接のパターン光照射と水の注入のみで、任意の流路構造を即席で形成できるマイクロバイオチップが、このゲル材料を用いて構成できることが実証された。
|
Research Products
(12 results)