2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20360001
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
松倉 文礼 東北大学, 電気通信研究所, 准教授 (50261574)
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Keywords | スピントロニクス / 強磁性半導体 / 電流誘起磁壁移動 / 磁界誘起磁壁移動 / スピントルク / スピン流 / 結晶成長 |
Research Abstract |
エネルギ保存則と角運動量保存則から、強磁性体中で磁壁が移動した際には、起電力が生成されることが理論的に指摘されている。しかしその実験的報告は強磁性金属において1件あるのみで、更なる詳細な実験的検証が望まれている。 本研究では、垂直磁化容易軸を持つ膜厚30nmの(Ga_<0.95>Mn_<0.05>AsをGaAs基板上に(In,Al)Asバッファ層を介して分子線エピタキシ法を用いて成長した。(Ga,Mn)Asの電流誘起磁壁運動は断熱的スピン移行機構によって説明できるので、(Ga,Mn)Asは磁壁にまつわる物理現象を探索するのに有用な材料であると考慮される。(Ga,Mn)Asを段差構造を持つ磁壁移動素子に加工し、外部交流磁界により磁壁を移動させた際に発生する起電力を計測した。磁壁の有無により異なる素子に発生する起電力信号の差を取ることで、電磁誘導による起電力に重畳した磁壁移動に起因する明確な起電力信号を得ることに成功した。素子温度を変えた測定から起電力の大きさは(Ga,Mn)As中のキャリアのスピン偏極率に依存することを示唆する結果を得た。但し、磁気エネルギと電気エネルギのみを考慮した場合に信号強度の大きさを説明できない。ここでの磁壁運動はクリープ運動であることから、弾性エネルギが磁壁移動中に消費されたためと考えられる。スピントロニクス素子を応用した新たな起電力生成手法に対する知見を得ることができた。
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Research Products
(2 results)