2009 Fiscal Year Annual Research Report
低次元ナノ構造化によるスピン緩和時間の増大と面内構造3端子素子への応用
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20360002
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
三谷 誠司 National Institute for Materials Science, 磁性材料センター, グループリーダー (20250813)
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Keywords | 磁性 / スピントロニクス / ナノ構造 / ナノ粒子 / 低次元 / 超薄膜 / ナノ粒子 / 2重接合 |
Research Abstract |
スピンの緩和現象は、巨大磁気抵抗効果をはじめとする種々のスピン伝導機能や、それらのダイナミクスの理解と制御に直接関係する重要な研究課題である。本研究では、これまでほとんど研究されていなかった電流注入による非平衡スピンの緩和に及ぼす低次元ナノ構造化の効果を調べる。これにより、どのような低次元ナノ構造においてスピンの緩和時間が大きく増大するかを明らかにするとともに、そのメカニスムの解明を狙う。 本年度は、Crナノ粒子を含む2重トンネル接合構造、成長中ガス導入法による超薄膜の作製、超薄膜電極用トンネルバリア材料の開発などに関して研究を行った。Crナノ粒子を含む2重トンネル接合の作製と評価の実験では、サイズ分布の小さなCrナノ粒子が得られ、作製した試料のいくつかにおいて、スピン蓄積に起因すると思われるトンネル磁気抵抗効果を観測することに成功した。試料ごとに特性が異なる理由としては、Crが容易に酸化する物質であることや、スピン緩和時間の増大効果があまり大きくなく、体積の大きなナノ粒子ではスピン蓄積が生じないことなどが考えられる。成長中ガス導入法による超薄膜の作製の実験では、Feの成長中にNガスを導入することによって、MgO下地上に平坦度の高い超薄膜を得ることができた。熱処理による構造安定性の実験を行った結果、FeN合金として成長することによる歪みエネルギーの緩和よりも、成長中の表面サーファクタント効果が超薄膜構造の形成に寄与していることが示唆された。超薄膜電極用トンネルバリア材料として、スピネル化合物について検討を行った。
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[Journal Article]2009
Author(s)
三谷誠司
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Journal Title
「スピントロニクスの基礎と材料・応用技術の最前線」スピン依存単一電子トンネル現象、高梨弘毅編(シーエムシー出版)
Pages: 421(83-93)
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