2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20360003
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
秋本 克洋 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (90251040)
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Keywords | 高効率太陽光発電材料・素子 / 新エネルギー / 太陽光発電 / 太陽電池 / 有機半導体 |
Research Abstract |
分子の配向や分子間の接触方向、金属電極との接触等の性質を明らかにし、これらを制御することで有機太陽電池の効率向上を目指している。今年度は、poly(3-hexylthiophene)(P3HT)と6,6-phenyl-C_<61> butyric acid methyl ester(PCBM)のバルクヘテロ構造における配向性制御と効率との相関、有機分子と電極金属界面の電子状態の解析を実験およびシミュレーションを用いて行なった。 P3HTとPCBMの配向 バルクヘテロ構造となる混合層の製膜の温度変化依存性を調べた。室温から200Cまで変化させるとP3HTの(010)が出現し次第に強度が強くなることが分かった。一方、AFM観察より、アニール温度150C以上では表面がフラットとなりP3HTとPCBMが相分離していることが示唆された。太陽電池の変換効率は140Cアニールで最大2.0%を示した。この結果は、アニールによりP3HTの配向性がπ-πスタックとなるように配列したことで変換効率が向上したと理解され、アニール温度が150CC以上では配向しているものの相分離により変換孤立が低下したと理解できる。配向制御がアニールで可能であることが示された。 有機分子/金属界面電子状態 バッファ層材料BCPと金属との界面における電子状態を第一原理計算により調べた。Ca,Mg,Ca,Mg,Ag,などでは界面準位の形成が見られ、Auでは形成は見られなかった。この結果はUPS測定結果と一致する。界面準位の軌道成分はLUMO起因となっており、LUMOと金属原子のp軌道との相互作用で界面準位が形成されていることが分かった。すなわち、金属とBCPのLUMOの波動関数がつながっていることを示しており、電子輸送がスムースに行なわれる原因となっている。相互作用の強さは金属のフェルミ準位とLUMOのエネルギー差に依存していることが分かった。電子輸送材料の場合、仕事関数の値が小さい材料を用いるほうが電子輸送に対してばよいという設計指針が得られた。
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Research Products
(16 results)