2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20360003
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
秋本 克洋 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 教授 (90251040)
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Keywords | 新エネルギー / 高効率太陽光発電材料・素子 / 太陽光発電 / 太陽電池 / 有機半導体 |
Research Abstract |
分子の配向や分子間の接触方向、分子と金属電極との接触等の性質を明らかにし、これらを制御することで有機太陽電池の効率を向上させることを目標としている。今年度は、仕事関数が異なる各種の金属(Ca,Mg,Al,Ag,Au)とBathocuproine(BCP)および4,4'-N,N'-dicarbazol-biphenyl(CBP)の相互作用を実験および電子状態シミュレーションにより考察した。 分子と金属の相互作用:実験的アプローチ 紫外光電子分光測定より、エネルギーレベル配列について検討した。金属の仕事関数と分子のHOMOレベルの相対値は、金属の仕事関数の値に依存し、仕事関数が小さい場合はフェルミレベルとHOMOレベルの差は一定となった。この時金属のフェルミレベルと分子のLUMOはほぼレベルが一致していることが分かった。一方、仕事関数が大きい金属の場合は、フェルミレベルとHOMOのエネルギー差は仕事関数の値に依存した。電気伝導度は、金属のフェルミレベルと分子のLUMOが一致している系で低くなることが明らかとなった。すなわち、フェルミレベルとLUMOの間で相互作用が生じ、この間で電子の移動が起こりやすくなっていることが示唆された。これらを確認するため電子状態計算を行った。 分子と金属の相互作用:理論的アプローチ 分子と金属との界面における電子状態を第一原理計算により調べた。電子輸送材のBCPの場合、仕事関数の小さい金属のフェルミレベル近傍とLUMO間で相互作用があることが分かった。また、両性輸送材のCBPの場合は仕事関数が大きい金属のフェルミレベルとHOMOの間で相互作用が見いだされた。紫外光電子分光から得られた結果と矛盾しない結果であり、デバイス構造設計の際には電極材料と分子の相互作用の影響を考慮しなければならないことを明らかにした。
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Research Products
(14 results)