2009 Fiscal Year Annual Research Report
基板表面不活性層を用いたシリコン基板上の高安定な弗化物共鳴トンネル素子の実現
Project/Area Number |
20360004
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
筒井 一生 Tokyo Institute of Technology, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (60188589)
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Keywords | 弗化物 / 共鳴トンネル / ニッケルシリサイド / ゲルマニウム / シリコン / 電子デバイス / 超薄膜 |
Research Abstract |
弗化物ヘテロ系による共鳴トンネル構造をSi基板表面のエピタキシャルNiSi_2層上およびGeバルク基板上に実現するための成長条件の探索を進めた。 まず、エピタキシャルNiSi_2層の高品質化を図った。その結果、まず、超高真空中において常温でNiを2nm堆積してからその場で500℃の熱処理でシリサイド化したあとに、加熱状態でNi分子線をさらに10nm相当分供給してNiSi_2の追加成長をする二段階成長法によって、平坦性とSi表面被服性および結晶性の良好なNiS_2層が成長できることを明らかにした。そして、この層が、その上にCdF_2を直接成長する場合にSi基板とCdF_2の化学反応を抑制するのに充分な層厚を持っていることも確かめられた。そして、このNiSi_2層上にCdF_2層を結晶性と平坦性を両立させて成長するには、薄いCaF_2層をバッファ層として挿入することが有効であることも見いだした。これにより、NiSi_2層上への共鳴トンネル構造の成長の見通しを得た。 バルクGe基板上では、CaSrF_2混晶をバリア層として2段階成長する成長条件の最適化を行い、3nm程度のトンネルバリアの成長を実現した。そして、この上にCaSrF_2/CdF_2/CaSrF_2のダブルバリアの共鳴トンネル構造を成長し、Ge基板上のRTDとして初めて常温で明確な微分負性抵抗特性を観測した。このときの弗化物ヘテロ構造は300℃で成長できており、この温度はこれまでSi基板上では良好な成長が困難となる高温での成長を実現できたことになり、本研究の大きな目的をデバイス特性の実現で実証できた。
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Research Products
(5 results)