2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20360005
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
浅野 秀文 Nagoya University, 大学院・工学研究科, 教授 (50262853)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 尚治 鹿児島大学, 理学部, 教授 (10041237)
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Keywords | ハーフメタル / スピン分極率 / スピントロニクス / 反強磁性体 / アンドレーエフ反射 |
Research Abstract |
本研究では、ハーフメタル磁性体に対して、そのハーフメタル性を規定するフェルミエネルギー(E_F)近傍の電子構造を維持したままで、電子構造を制御して飽和磁気モーメントを低減化させる材料制御手法を開拓することにより、高スピン偏極特性、かつ低(ゼロ)磁気モーメント性を併せ持つ、高機能なスピン制御材料を創製する。さらに、それらの材料で構成されるナノヘテロ構造を用いて、新規なデバイス機能を探求する。 アップスピン電子のフェルミ面状態密度が大きく擾乱耐性に優れたFe系ホイスラー合金Fe_2(Cr_<1-x>M_x)Si (M=Ti, V)系において、磁気特性、スピン分極率Pに対する置換元素やその置換量依存性を調べた。その結果、V置換量x≦0.5の領域ではキュリー温度T_cを維持したまま磁気モーメントM_sが緩やかに低下するのに対し、V置換量x≧0.5の領域ではT_cとM_s共に急激に低下し、反強磁性的挙動を示すことを見出した。また、V置換の全領域において組成によらずスピン分極率Pがほぼ一定(〜0.6)で維持されることが明らかになった。また、二重ペロブスカイトSrLaVMoO_6に対して、バルクにおいて単相試料が得られる作製条件を見出した。その単相試料では、120Kで反強磁性転移が生じることを明らかにし、低温(4.2K)でのアンドレーエフ反射測定から、P=0.5という値を得た。これらのデータは、反強磁性状態でも有限のスピン分極を有することを示した初めての実験結果であり、ハーフメタル反強磁性体の実現の可能性を強く示唆するものである。
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Research Products
(24 results)