2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20360012
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
山浦 一成 National Institute for Materials Science, 超伝材料センター, 主幹研究員 (70391216)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
室町 英治 独立行政法人物質・材料研究機構, 超伝材料センター, グループリーダー (30343833)
新井 正男 独立行政法人物質・材料研究機構, 計算科学センター, 主幹研究員 (40222723)
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Keywords | ハーフメタル / ナノハーフメタル / スピン流 / 高圧合成 / 低次元伝導体 |
Research Abstract |
NaV2O4を母体とする元素置換実験に取り組んだ。価数が異なるCaイオンをNaサイトに導入して、磁気的電気的性質の変化を調べた。母体で観測された約150K付近の反強磁性転移が置換の度合いが進むにつれ(Ca/(Na、Ca)<0.7)、かなりブロードに変化したが、転移温度の範囲は120-160K程度のまま大きく変化しなかった。電気伝導性の測定では、不純物の影響を含む試料の質の問題が大きく、測定結果が不明瞭であったため、特異な電子状態の変化の様子を調べるためには、正確な電気伝導測定に必要な単結晶育成に取り組む必要があると思われた。これまでの結果から、このCa置換体は応用上重要な室温特性の向上に直接的に関与しないと思われる。 NaV2O4の単結晶試料を用いた高分解能光電子分光法による電子状態の研究に取り組んだ。構造異方性に起因する特異な低次元金属状態を反映していると思われる非フェルミ液体的な金属状態を示唆するスペクトルが得られた。これらの結果は、学術的にかなり興味深く、NaV2O4の本質的な電子状態を解明するためにも、さらに角度分解を含む実験を次年度以降も継続する。 ポストペロブスカイト型構造を有するCaRhO3の新規合成に成功した。この層状構造物質の電子状態を第一原理的に調べたところ、ハーフメタル的なスピン分極構造が示唆された。磁気的には反強磁性的であることが実験的に確かめられているため、新規なナノハーフメタル物質が合成できる可能性がある。次年度以降も引き続き研究を継続する。
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