2010 Fiscal Year Annual Research Report
ナノチャネル・ヘテロエピタキシャル薄膜成長法の開発と応用
Project/Area Number |
20360015
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
市川 昌和 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特任教授 (20343147)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 芳明 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 准教授 (60345105)
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Keywords | ナノ材料 / 半導体物性 / 光物性 / 表面・界面物性 / 量子ドット / 薄膜 / シリコン / 化合物半導体 |
Research Abstract |
本研究では、Si基板上に作製した極薄Si酸化膜を利用してナノドット形成し、これらのナノドットを種結晶として利用して良質の薄膜をヘテロエピタキシャル成長するためのナノチャネル・ヘテロエピタキシャル薄膜成長法を開発する。さらに、この薄膜成長法を用いて、Si基板上に結晶性の良いGeやGeSn薄膜および、GaSbやGaAlSb薄膜を成長し、これらの結晶構造と発光特性を評価する。これらの研究により、Si基板上に発光効率の大きい薄膜デバイスを開発し、Si電子デバイスとSi光デバイスの融合を目指す。本年度は、Si基板上にGe,GeSn,GaSbとAlGaSb薄膜を作製し、以下に示す結果を得た。 極薄Si酸化膜を形成したSi表面にGeを蒸着してGeナノドットの種結晶を形成した後、200℃程度の低温で中間層を成長し、さらに500℃程度の温度で薄膜層を成長することにより、表面粗さが約0.4nmという平坦なGe薄膜(厚さ:130nm)を作製することに成功した。エッチング法により結晶欠陥密度を調べた結果、欠陥密度は~10^4/cm^2と他の手法により作製したGe薄膜に比較して非常に少ないことが分かった。さらにこの薄膜から0.8eV付近にピークを持つフォトルミネッセンス(PDを観測し、良質のGe薄膜であることを確認した。 同様に、極薄Si酸化膜を形成したSi表面に少量のGeを蒸着しSi開口部を形成し、その後GeSnを200℃程度の温度で蒸着してナノドットの種結晶を形成した後、300℃程度の温度でGeSn薄膜を60nm成長した。しかし、薄膜表面はファセット化し表面が平坦な薄膜を得ることができなかった。最適な成長条件を探索することが今後の課題として残された。 また、極薄Si酸化膜を形成したSi表面に少量のGeを蒸着しSi開口部を形成し、その後GaSbを200℃程度の温度で蒸着してナノドットの種結晶を形成した後、300℃程度の温度で中間層を成長し、さらに450℃程度の温度で薄膜層を成長することにより、表面粗さが3.2nmという平坦なGaSb薄膜(厚さ130nm)を作製することに成功した。基板Siとの格子ミスマッチが12%と非常に大きいにも関わらず、薄膜の成長が可能となった。この薄膜から、0.75eV付近にピークを持っ強度の大きいPLと、電流注入による強度の大きいエレクトロルミネッセンス(EL)の観測に成功した。さらに、同様な方法によりSi基板上にAlGaSb薄膜の作製にも成功した。この薄膜から、0,8eV付近にピークを持つ強度の大きいPLを観測することができた。 以上の結果から、本研究によりナノチャネル・ヘテロエピタキシャル薄膜成長法の開発と応用に関して、目標を達成したと考えている。
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