2009 Fiscal Year Annual Research Report
走査プローブ顕微鏡によるナノスケール局所電気特性計測に関する理論解析
Project/Area Number |
20360016
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡邉 聡 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 教授 (00292772)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多田 朋史 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助教 (40376512)
戸塚 英臣 日本大学, 理工学部, 助手 (10339260)
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Keywords | 薄膜・表面界面物性 / 走査プローブ顕微鏡 / 電気特性計算 / 走査トンネル分光 / 局所トンネル障壁高さ / ケルビン力顕微鏡 / 多探針電気特性計測 / キャパシタンス |
Research Abstract |
本研究では、走査プローブ顕微鏡を応用した各種ナノスケール局所電気特性計測における計測量の物理的意味の明確化を目指し、方法論・シミュレータの開発とそれを用いた理論解析を進めた。まず局所トンネル障壁高さ計測については、本年度は半無限電極部分をジェリウム模型からバルク結晶に代えるプログラム改良に注力した。次にケルビン力顕微鏡については、トンネル電流が大きい時に電極間力に不釣合いが生じる問題の検討を引き続き進めた。多探針電気特性計測については、ゼロバイアス電圧における自己無撞着計算の速度・収束性を高めるプログラム改良を引き続き行うと共に、ゲート電圧による4端子抵抗値の変化について、より精緻な解析を行った。その結果、4端子抵抗スペクトルの振動周期がプローブ先端付近の局在準位のために接触点間干渉から予想される滑らかな振舞いからの外れる場合があること、および1次元系特有の状態密度の発散点であるvan Hove特異点が4端子抵抗スペクトルのピークやディップと関係することを明らかにした。最後に、キャパシタンスが関係した計測法である走査キャパシタンス顕微鏡および走査型非線形誘電率顕微鏡については、ナノスケールの局所変化を解析するには精度が不足する問題が未だ解決できていない。このため、この問題の検討と並行してキャパシタンスが重要な役割を果たす過渡電流応答・交流電流応答について解析を始めた。量子ドットに矩形波ゲート電圧を印加した際の過渡電流の量子ドット-電極接触強度依存性について、最近報告された実験データをよく説明できる計算結果を得ることができた。
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