2010 Fiscal Year Annual Research Report
走査プローブ顕微鏡によるナノスケール局所電気特性計測に関する理論解析
Project/Area Number |
20360016
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
渡邉 聡 東京大学, 大学院・工学系研究科, 教授 (00292772)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
多田 朋史 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特任講師 (40376512)
戸塚 英臣 日本大学, 理工学部, 助手 (10339260)
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Keywords | 薄膜・表面界面物性 / 走査プローブ顕微鏡 / 電気特性計算 |
Research Abstract |
本研究では、走査プローブ顕微鏡を応用した各種ナノスケール局所電気特性計測の理論解析に必要な方法論・シミュレータの改良と、計測量の物理的意味および関連する計測手法間の計測量の相互関係の明確化を目指した理論解析を行った。まず水素終端Si(100)面について、局所トンネル障壁高さ計測(LBH)と印加電圧による探針誘起バンド湾曲との相関を解析し、バンド湾曲が印加電圧と共に単調に変化するのに対し、LBHの変化は単調でないことを示した。この振舞いの違いは印加電圧による電子状態変化から説明できる可能性があることがわかった。次に多探針電気特性計測については、バイアス電圧印加自己無撞着計算ができるようプログラムを改良したと共に、電圧プローブの電流がゼロとなるような電圧をゼロバイアスでの透過関数から推測する公式を導き、自己無動着計算結果からこの公式がよい近似であることを示した。さらに、電子-フォノン散乱効果をプログラムに組み込み、これを用いて中央の1原子で電子-フォノン散乱を考慮して水素原子鎖の4端子抵抗を計算した。電流端子間および電流端子-電圧端子間の電圧差が振動エネルギーに対応する場合に非弾性散乱で微分抵抗が変化することを明らかにした。静電容量解析に代えて行った交流・過渡応答特性解析では、まずオクタテトラエン分子架橋系等の過渡応答電流が、分子-電極間相互作用が弱い場合には分子のエネルギー準位に対応する成分に分解でき、その各成分は量子ドット系と同様な単純な挙動を示すことを見出した。次に原子空孔を含む金属単層カーボンナノチューブのTHz領域の交流応答を解析し、直流コンダクタンスが空孔位置によらないのに対し、アドミッタンスの虚数成分は強く依存することを示した。
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Research Products
(23 results)